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土壌別経営診断 うちの土ではどう作る? 総集編

日本の土壌分類と世界の土を比較する

世界の土との比較



 今度は、日本の土壌が世界の土と比較してどうなのかということを考えてみたいと思います。

 まず日本の気候は大陸のそれと比べて多雨であるということがその特徴として挙げられます。ヨーロッパや北米に比して2~3倍の雨が降り、土壌の大事な成分が生成される段階で洗い流されてしまいます。ヨーロッパや北米の土は、氷河によって削られた岩石が細かく砕けて土の材料となり、それが少ない雨量の条件下で土壌の材料になっていき、ケイ酸や石灰、マグネシウム、その他の多くの微量要素も失うことなく土ができあがっていきます。日本の土の材料、つまり母岩には元々石灰やマグネシウムなどの栄養分が少ないので、この差はさらに大きくなっています。これが多雨によって栄養分が失われている日本の土が酸性土壌ばかりを生成している理由です。雨が多く地形が急峻な事から、表層土が侵食を受けやすく腐植も増加しない、また与えた栄養分も流れ去りやすいということから大陸のそれと比べて未熟な土が多いということです。

 また表1でも分かるように日本には火山灰土が多くあります。これは、酸性改良とリン酸施用をきちんと実施しないと作物のできない土です。関東ローム層などをみても表層部に厚い腐植層があり、その色からして良く肥えている土のようにみえますが、日本の火山灰土の腐食はアルミニウムと強く結びついていることから、その分解と植物への栄養供給がなかなか進まず、大陸に分布する腐植を含む土の生産力とは比べ物にならないほど劣ります。

 以上のような日本の土壌の特性から戦後、食糧増産のために日本の痩せきった土に行った石灰とリン酸肥料の施用は目を見張る効果を表わしました。そして他の成分も与えれば与えないよりもよい結果となると安易に考え、それを繰り返したため、次第に人々は施肥の「程度」というものを考えなくなっていきました。我が国では時あたかも重化学工業が急成長していた時代で、硫安、尿素などの無機肥料の使用は、重化学工業発展に貢献していました。そのため、土を調べ必要量を考え、最も適した内容の施肥をするなどという話は立て前だけとなり、土壌診断事業は誰も振り向かない、時代に沿わない仕事となったのです。その背景には、日本の土が多雨によって痩せきった酸性土壌ということに理由がありました。大陸の土壌の場合は、中性から微アルカリ性であるため、施肥に注意しないとたちまち微量要素などがあっても効果の出ない現象が出てしまい、主要成分も与える量に注意しないとすぐに過剰症が発生します。それと比べると、日本の土壌では与えれば与えるだけ単純に増収していったわけです。

 しかし過剰施肥の程度は既に土壌の持つ元々の環境浄化能力をはるかに越えてしまい、現在土壌が環境汚染の源となってしまっている状況とすらなっています。これを指導機関の責任だと考えることは間違いだと思います。自分の圃場に自分の金を使って過剰施肥した責任は、農業者にあるのです。

 次回は日本の土の種類と特性について述べていきます。

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