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今年の市場相場を読む

野菜を機能性から考える ニンジン・ブロッコリー・ナス・ピーマン

野菜を考える上で、いま重要なファクターのひとつは「機能性」であることは間違いない。一般的に緑黄色野菜に機能性が高いことは知られているが、当然ながらその他の品目にもそれなりの機能性はある。
 野菜を考える上で、いま重要なファクターのひとつは「機能性」であることは間違いない。一般的に緑黄色野菜に機能性が高いことは知られているが、当然ながらその他の品目にもそれなりの機能性はある。また、機能性は調理の方法によってもその効果が変わってくる。そのような知識や前提によって、野菜の販売手法に新たな観点が付加される。また、最近では、MA包装など優れた「品質保持」フィルムが登場しているが、こうした資材の活用によってその機能性をさらにアピールすることも必要になる。大型品目からいくつか見てみよう。


ニンジン 機能性から支持と再認識が甘さへの志向と用途提案



【概況】

 東京市場のニンジンは、高かった平成7年以降に入荷が増え、平成9年には暴落状態となった。その反動もあって、平成10年には数量が減少し、単価は7割高のキロ172円と7年水準に戻った。平成11年は夏場が高かったものの、ほぼ平均単価で推移した1年であった。シェアとしては千葉産が4割強でトップ、続いて北海道が25%で2位、徳島が1割強の順と割合に変化はない。また、東京市場への輸入品入荷の割合は2%で、中国、ニュージー、台湾、オーストラリアなどである。


【背景】

 ニンジンは年間10万トンを超える大型品目であり、主産地が固定されている。ただし、他産地でも生産余力はあり、需要のいかんによっては大型の対応も可能だ。とりわけかつての“ニンジン・ブーム”の際に生まれた産地が東北などに多く、加工のための貯蔵量も少なくないために需給は緩和されてきている。ただし、季節によっては品質を上げてきている輸入品を定番品揃えにしている小売店もあり、まだ少ないながらも輸入も堅調である。品質的には夏場は北海道が、冬場は徳島産が絶対の評価を得ているが、食味で選ばれる産地やこだわり農法で人気のある産地などの従来にないパターンの生産・出荷も登場している。


【今後の対応】

 ニンジンはトマトと並んでカロチンという機能性に優れた栄養素の宝庫とされ、ジュース原料としての地位も高い。近年大型野菜の中ではもっとも消費が伸びた品目でもある。しかしこのところニンジン人気は息切れぎみだ。やれ機能性だ栄養だといっても、やはりおいしくなければ人気は続かないし、限界がある。最近の“有機的”栽培方法のニンジンは確かにおいしい。また、オーストラリアのタスマニア産のニンジンも輸入品の中では群を抜いたおいしさだ。要するに甘いのである。これなら野菜サラダに加えたり、キュウリやセロリなどとスティックにしたりして生で食べられる。甘いニンジンは例外なくニンジンの香りが強い。しかしそれが気にならないほど、「おいしさ」が勝っている。もちろん全てのニンジンが甘くなくてもいい。食味に応じて料理提案をしていけばいい。例えば、甘くないのなら「カレー用」とか「酢豚用」といったふうにだ。全体に強い味付けをするものに、ニンジンの食味は強調されない。そうした使い分けをしてもらう習慣を消費者に持ってもらいたいものだ。

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