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特集

―中・外食のサラダメニュー拝見―
メニューから考える農産物マーケティング

トップシェフが語るレストラン最新事情


 「おいしい物が食べたい」という消費者の欲求は尽きない。しかし、かつてのグルメブームもいまは様変わりし、一世を風靡したカリスマシェフの店も、知名度だけではお客が呼べない時代になってきた。価格、健康、高品質をキ一ワードにした新しい付加価値が必要だ。

 昨年末、外食店向けの専門紙が全国の料理長300人にアンケートを取ったところ、いま一番必要な情報は何かという問いに、もっとも多かった解答が「食材に関する情報」だった。とくに旬のもの、地方にしかない食材、市場に出回っていない食材の情報と、その調達方法を知リたいという声が、中華・和食・フレンチ・イタリアンなど料理のジャンルを問わずに上がっていた。料理人たちの関心は、消費者の健康志向の高まりを受けて、素材回帰に動いている。

 では飲食店では、これからどんなメニューが売れるのか、料理人が考える消費者ニーズとはどんなものか、また求めている素材はどんなものか、業界をリードするレストランのシェフたちに話を聞いた。


世界のグルメも野菜志向に

 「世界中のおいしい物を食べ歩いてきたお客さんが、ウチにきて喜ぶのは野菜の料理。もう彼らはフォアグラやキャビアなんて食べ飽きている。野菜でおいしいものを作って、俺を興奮させろと言ってくるんです。健康でおしゃれに、カジュアルにというのが世界的な傾向になってきていますね」。

 リストランテ・ヒロのオーナーシェフ、山田宏巳氏はグルメの最前線をそう語る。名物テレビ番組「料理の鉄人」のキャベツ対決で、鉄人を破ったことでも知られるカリスマシェフ。東京の南青山と代官山にイタリア料理店を2店持ち、今もテレビや雑誌の取材が後を絶たない売れっ子だ。とくに野菜を使ったレシピには定評があり、「野菜1個のイタリアン」などいくつもの著書も発表している。

 「料理の決め手は野菜」と言い切るだけに、20年前から日本にはなかった西洋野菜を、生産者に委託して作ってもらってきた。「当時はイタリア料理店もまだ少なくて、イタリアで使っている野菜は、サニーレタスぐらいしかなかった。赤いレタスや生でも食用できるソラマメなどは、僕がタネを持ち込んで生産者に作ってもらったんです。イタリアと同じ品質のものができるまで何年もかかった」。

 需要が広かってくると、流通形態も変わってくる。「アーティチョークなどは、最初は茎を切っていましたが、10センチくらいは付けた方がおいしい。そのことを言ったら、市場に茎が付いたものが出回るようになりました」。


生でも食べられる旬野菜に感動

 素材への探究心も旺盛だ。毎年京都に出かけ、料亭からおばんざいまで食べ歩いて、京野菜の研究をしている。アワやヒエといった雑穀も取り入れる。健康をあまり前面に謳うと、薬のようにおいしくないイメージになってしまう。お客さんは、身体にいい食べ物を食べたいと思っているけれど、それをどうカジュアルにおしゃれに行ける店にするかが求められているという。

 調理のポイントは、細かい仕入れとネットワーク。現在仕入れの半分くらいの野菜が産地や生産者を指定したもの。「常にアンテナを高くして、どこに何かあるか。今年の旬の野菜の出来はどうか、産地に問い合わせている」。

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