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特集

―中・外食のサラダメニュー拝見―
メニューから考える農産物マーケティング

野菜は鮮度で差別化開発輸入も積極的に

 同社の原料手当ては、海外での開発輸入と国産でしかできないものがある。野菜は、サトイモなどの一部を除いて、冷凍時品は一切使用していない。そのためいかに収穫後の温度管理を適切に行い、鮮度を保つかが、同社の差別化のポイントだ。

 ホウレンソウや小松菜、チングンサイなどの疏菜は、国内の生産者と組み、今日収穫したものが、明日には惣菜として売り場に並ぶ。

 一方、ブロッコリーは上海から輸入しているが、現地で力ッ卜してから3日後には店舗に届く仕組みだ。「収穫した瞬間から温度を下げ、輸送中も温度管理をしながら工場に入れる。ここまで徹底した温度管理は日本ではなかなかできない」(大森部長)という。今年からオーストラリアの技術陣が現地に入り込み、栽培の指導にも当たっている。

 また、同社のコア商品であるカボチヤは、これまでニュージーランド、メキシコ、アメリカ、北海道-と季節ごとに産地が異なるので品質にばらつきがあり、オペレーションがうまくいかなかった。今年から北海道の「あじへい」という品種の種と栽培方法をニュージーランドにも持ち込み、品質の均一化を図っている。

「消費者にオリジンの商品でなくてはダメといわれるくらい、ただ安いだけではなく、消費者の健康を配慮して、生産の現場から技術を投入していくことを、今年からさらに大きなテーマとして実践していきます」

 オリジンの惣菜は、1グラム単位の量り売りだが、1グラム1.5円で売るためには高い国産品は使えない。さらに、今後はスーパーなどとの競争が激しくなって、1グラム1円の攻防戦になると見られている。


生産から加工・販売まで一貫体制でニーズに応える

 原料へのこだわりから同社の原価率は45%と高い。力ッ卜野菜については、100%アウトソーシングしている。これに対し、現在、自社の力ッ卜工場を建設中で、生産から加工まで一貫してできる人材と技術力を持てば、今後さらに拡大する国内外との取引を有利に進められるという判断があるようだ。「コンビニは、ベンダー主導だから商品開発を見誤った。ウチは自社で開発した商品を外注し、コストも明確にする」という。

 同社の安沢英雄会長は、来るべき高齢化社会をいまから見据え、高齢者でも食べやすいメニュー、身体にいい食事の組み合わせについて、自社で研究所を創設し研究を進めている。

 しかしオリジンの利用者は、10~20代の若者が6割を占めており、現実には40代以上向けの惣菜は、あまり陳列されていないという。しかし惣菜の比率は、当初7(弁当)対3(惣菜)だったものが、地域によっては半々ぐらいにまで高まっている。これは、健康を気遣う働く女性が、弁当に惣菜をプラスして栄養バランスを補おうとする傾向が強まっているほか、「家庭の主婦も、惣菜を買ったから手抜きといわれることはなく、ご主人も文句を言わない」と、一般家庭でも惣菜が抵抗なく受け入れられてきた。一人暮らしのお年寄りも、顔を出す機会が増えてきたという。

「今後は、温野菜のサラダや煮物など、たくさん食べられる蔀でた野菜と、和食のだしをペースにしたページックなスタイルを掘り下げていきたい」と、高齢化時代へのカウントダウンを意識した取り組みを実現させていく。(加藤さちこ)


●大森富雄部長のコメント
ナスはウチの季節の王様。ナス味噌、ナスのチリソースなど、ナスの惣菜は人気商品で幅広い層が買っていく。今年はどこよりも早く、5月から店頭に出せるように準備してきました。この時期グラム1.5円でナスを出せるのはうちだけです。また、葉もののサラダが弱かったので、今期から、「ロメインレタスとホウレンソウのシーザーサラダ」「シャキシャキダイコンとお揚げのサラダ」「焼き野菜の彩りサラダ」の3品のカップサラダを商品化しました。

「オリジン弁当」(オリジン東秀株式会社)
東京都調布市仙川町3-2-4
TEL.03-3305-0180

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