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【読み切り】
オリジン弁当を国民のための基準食に/オリジン東秀株式会社会長安沢英雄さん
- オリジン東秀株式会社会長 安沢英雄
- 2001年05月01日
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日本の土は疲弊している 失われた栄養分
昆吉則(「農業経営者」編集長)
安沢会長は、オリジン弁当を「国民のための基準食」にしたいというコンセプトをお持ちになっていますが、その根底には、現代の食生活や食料問題に対しての強い危機感があるのだと感じております。まず、オリジン弁当の原点についてお話し下さい。
安沢英雄(オリジン東秀株式会社会長) 私は年10回以上海外に出かけていますが、必ず調理場付きのホテルに泊まり、その土地の野菜を買って食べています。そこで感じることは、野菜に香りやパワーがあるということ。日本のニンジンなどの根菜は、調理すると溶けて香りもなくなってしまいます。これは土の問題が大きいのだと思います。戦後、日本は大量生産・大量消費の時代に入って、小さい耕地に化学肥料を使い、連作を続けてきたので、土が疲弊している。もともと高温多湿で野菜の栄養分が少ないにもかかわらず、ますます野菜の香りや力がなくなっています。米国や中国、オーストラリアでは連作はせず、休耕させて地力を養っています。また、自然のままの土の能力や機能をそのまま生かすことを、国民や生産者白身が要望しているのです。
いま弊社では、国内の農家とともに身体に良い、本来の機能も持った野菜の生産に取り組みはじめていますが、日本の土の問題は、回復するまで少なくとも7、8年はかかるでしょう。それまでは契約栽培のできる海外に行き、間に合わせざるを得ないという考えです。
また、戦後55年たって、当時の本物のうまさが忘れられようとしています。新しい風味や味を体験してしまうと、「これが本物のうまさだ」と主張し続けることは難しい。けれども40代以上のお客さんは、「他の店の味付けが濃いので、オリジンで食べて初めて素材のうまさが分かった」と言ってくれます。私も新潟の実家でうまい米を食べていたので、上京して初めて、自分の家の米がおいしかったことが分かりました。 20代の若者には味の違いは分からないでしょう。でも今のコンビニ弁当のような食生活はだめだということを、粘り強く主張して、コンビニのそばに店を出し続けているのです。
米国は、生活習慣病や高齢者問題を深刻にとらえ、2000年までにヘルシーピープルという健康・栄養政策を推進してきました。しかし、残念ながら日本の政治家や官僚には、米国のような政策は期待できない。民間の我々が「国民の基準食」を作り上げていくしかないという使命感を持っています。
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安沢英雄
オリジン東秀株式会社会長
1964年3月明治大学経済学部卒業、同4月株式会社正華入社。66年9月有限会社東秀を設立し、代表取締役社長に就任、76年11月有限会社から株式会社に改組、代表取締役社長に就任。2000年6月代表取締役会長に就任、現在に至る。
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