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【シリーズ TPP特集 】
TPPの解き方(1)
【交渉のキーパーソン】
片上慶一・外務省経済局局長インタビュー(中)
- 外務省経済局長 片上慶一
- 2012年12月19日
2012年にも正念場を迎えるとみられている環太平洋アジアパートナーシップ協定(TPP)交渉。国内でも新政権の誕生を機に、交渉参加の是非をめぐって再び大きな議論が巻き起こるのは必至だ。その前にTPPとは何か、参加交渉の現状はどうなっているのかを理解したい。外務省経済局長の片上慶一氏に聞いた。(聞き手・窪田新之助)
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加盟国はAPECの過半数に
――肝心のTPP参加交渉の現状はどうなっているのですか。
日本政府は昨年11月に、TPP協定交渉参加に向けて関係国との協議に入ることにしました。これを受けた格好と言っていいでしょう、カナダとメキシコも関心を示した。そして、10月からこの2カ国が正式参加することになり、いよいよTPPはAPEC21カ国の過半数を占めるという状況に入ります(注1)。
――これまで具体的にはどんな交渉がされてきましたか。
まずTPPで議論されているのは全部で21分野にわたります。これらの分野をよく見ると、実は日本がこれまで2国間交渉でASEANとの間で結んでいる経済連携協定の分野と、大きく異なっているのはそんなにないんです。強いて新しいと言えるのは環境と労働、分野横断的事項というチャプター(章)でしょうか。
この21分野の進捗状況ですが、5月に米国・ダラスでの第12回会合では、中小企業による協定利用促進についての議論は終わりました。一方で、センシティブ品目や知的財産の取り扱いに関する議論はかなり遅れているようです。
――月刊誌「農業経営者」の読者が気になる農業分野の交渉は。
関税の削減・撤廃、輸出補助金や輸出税の禁止、食の安全保障などについて話し合われています。最終的に何が例外扱いになるかは分かりません。けれども、TPPが「高いレベル」を目指している以上、農業分野といえども従来のような関税による保護が難しくなるのは間違いないでしょう。もちろん我々としても情報収集はしていますが、ほとんどのチャプターの詳細は参加国でない限り把握できないのが実情です。
交渉妥結は2013年以降
――国内ではTPP交渉に関する情報が足りないという不満が挙がっています。それならば、まずはTPP交渉に参加して情報を引き出す、どうしても折り合えなければ脱退という方法もありそうですが。
もちろん論理的には可能でしょうね。反対派や慎重派には交渉に参加すれば抜けられないといった見方がありますが、米国だって地球温暖化防止の京都議定書では交渉に参加して、最後に署名していない。日本も二国間のFTAで中断しているのがある。
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