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読み切り

―環境ISOによる経営管理法と廃プラ問題から考える―
環境問題は本当に農業とは無縁なのか?

【食品残さはリサイクルよりリディュース(削減)】

三輪 皆さん、組織としての活動の場の中で、特に問題意識の共有化ができるということが大きなメリッ卜だということですね。人は危機に瀕すると、その原因を「外」に求めがちです。しかしこのISOのシステムは「内」つまり経営方法にそれを求めます。危機管理の意識を社員全員が共有していることは大変な自信につながることですし、ある意味ではこの不況も恐くないだろうと思います。また、それにかかるコストを社会貢献コストと見るべきだというご意見も非常に重要なことだと思います。組織内の全員でIS014001に取り組めば、必ず効果が出てくるということを皆さんのお話しを聞いて確信しました。それではいよいよ各論に入りたいと思います。この4月から導入される食品リサイクル法についてそれぞれのお立場からお聞かせ下さい。

杉森 店舗の生ゴミの資源化や減量化について、96年からコンポスト機の導入などを始めています。97年には再資源化することがLCA的に効果があるのか、肥料自体はどうなのかなどを大学の先生方と共同研究してきました。結果としては、個店処理だと問題があるので集中方式の方がよいということです。99年6月から全店に集中方式を導入し、コンポスト化したもののうち半分は産地である千葉県の田子町に持っていき、そこで改めて他の肥料と混ぜて完熟化させて使っています。一方、八王子では地域リサイクルを図り、2店舗にコンポスト機を設置し八王子の生産農家に使ってもらっています。産地と近いという点では良く機能しているようです。東京周辺ではコンポスト化したものを完熟化させるスペースが農家の方にもありませんから、そういう点で限定されます。環境問題から言うならば、もっと大きな切り口からやっていく必要があるのではと思っております。

高橋 行政からの依頼で学校給食の残さを日量約3トン処理したことがあります。受け入れの農地とはきちんと話しをしてスタートしたのですが、農地には堆肥を入れる時期というものがあり、収穫期になると待ってと言われます。ところが待っていると発酵段階を通り越して腐敗に入ってしまい、メタンガスが発生し異臭がするようになる。そういったことから、肥料にするには完全な完熟堆肥にしなくてはならないことが分かりました。危険に思っているのは食品残さに含まれる油分や塩分です。生ゴミの堆肥投入を何年か積み重ねると、土壌が崩壊するかもしれないという危機感もあります。一番良いのは、生ゴミを完熟させて土壌改良資材として利用することです。いわゆる堆肥効果を狙って農地に入れるのはビジネスと考えても良くないと感じています。短期的なスタンスで見れば良いかもしれませんが、長期的に見ればそれが弊害になるということもあり得ます。

徳井 生ゴミ堆肥の畑の還元と言いますが、まず畑に入れられる量というのは決められていて、それ以上の物を入れたら畑は単なるゴミ箱になってしまいます。施肥とは、目的にあった内容のものを適正量入れることが当たり前のことです。場合によっては、1回の施肥ミスで畑を潰してしまうこともあり得るのです。畑や土に神様のような能力があって、投入したものを際限なく浄化するなどといったことはあり得ないのです。有機物の持つ窒素分が蓄積していけば何年後かに畑はおかしくなり、やがては地下水汚染にもつながります。あくまで必要な量だけを畑に入れて維持するというのが原理原則です。

三輪 生産者の声として、重く受けとめてほしいです。場合によっては作物だけでなく、環境負荷まで与えてしまうというお話でした。農水省はさかんに肥料化飼料化といいますが、食品産業に携る人間としてこのままで良いのでしょうか。今回の展示会のテーマ、3R(リディュース、リユーズ、リサイクル)プロジェクトの中でもリサクルは最後にきています。その前にやることがあるのです。今日は皆さん有り難うございました。

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