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【シリーズ TPP特集 】
TPPとわが農業(2)
宮井能雅氏(北海道夕張郡長沼町)(最終回)
- 西南農場 代表取締役 宮井能雅
- 2013年01月16日
今回ご登場いただく農業経営者は、本誌「農業経営者」でコラム「ヒール宮井の憎まれ口通信」を連載していることでもおなじみ、北海道長沼町の宮井能雅氏。TPPについては、どんな辛口コメントが飛び出すのだろうか。(聞き手・窪田新之助)
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安全性は国家が担保する
――TPPに参加すれば、海外から遺伝子組み換え作物が無制限に流入する危険性が指摘されています。宮井さんは以前、北海道で遺伝子組み換えを作ろうとして話題になりましたよね。
組み換え作物を栽培したいと公言してからというもの、まったく多くの消費者団体、生協、何とか協会の方々からご意見をいただきましたよ。そのうち、どこかの女性は私に向かって「組み換え作物は安全ではありません!」と言い放ったことがある。彼女は「もし食べて、何かあったら責任をとれるのですか?」と聞いてきたので、私は「いいえ、個人で責任を取る仕組みになっていませんので」と答えた。
――それでどうなったんです?
彼女は「それは無責任ですよ! 生産者としての自覚はないのですか?」と言うんだ。だから、私は「組み換えの安全性は所属する国家に担保していただいていますので、個人的に安全性に興味を持つ必要はないと考えています」と返答したよ。だって国家が安全性試験をし、既存の作物と同等の安全性を保証した作物に対して、なぜ異議を唱えられるの。「安全ではない」と発言することは基本的に間違いだと思うよ。
――安全性の試験って、どんなことをやっているんですか?
ある専門家によると、組み換えの安全性とアレルギー性とは同等に考えて良いらしい。アレルギーの原因のほとんどはタンパク質。それで組み換え作物の遺伝子は胃の酸では何秒で分解されるか、熱で分解されるか、慢性毒性はどうなのかなどが試験されるんだね。そんな試験を経て農林水産省、厚生労働省、内閣府の食品安全委員会がその遺伝子組み換え作物にお墨付きを与える。反対派がその理由としてよく使う道徳観についても、「この審査では道徳を目的としない」と明記されているからね。このようなことは1994年から行なわれてて、日本だけではなくて、世界中でほぼ同じような基準で安全性試験が実施され、利用されているんだ。
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宮井能雅 ミヤイヨシマサ
西南農場
代表取締役
1958年3月、北海道長沼町生まれ。現在、同地で水田110haに麦50ha、大豆60haを作付けする。大学を1カ月で中退後、農業を継ぐ。子供時代から米国の農業に憧れ、後年、オーストラリアや米国での農業体験を通して、その思いをさらに強めていく。機械施設のほとんどは、米国のジョンディア代理店から直接購入。また、遺伝子組み換え大豆の栽培を自ら明かしたことで、反対派の批判の対象になっている。年商約1億円。
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