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【大泉一貫の農業経営者論】
未だに残る農政依存体質
- 東北大学農学部 助教授 大泉一貫
- 第34回 2001年06月01日
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1. 自民党の総裁選びに思う
自民党の新総裁は、小泉純一郎に決まった。前号で私は、もし私か自民党の幹事長で、党組織を良くしようと考えたら、選挙を形式で終わらせ、一部幹部の談合によって決めようとする考えに反対し、全国レベルでの総裁選をやって、そのエネルギーで参院選挙に望む、と書いた。
実際はその通りになっだのだが、しかしそれでも地方票があのように小泉に圧倒的に出てくるとは予想できなかった。自民党に変わる政党のあるなしに関わらず、自民党政権はもう終わるより他ないと考えていたからである。そして世は本格的連立の時代に入ると読んでいたのである。しかしこれで自民党政権が続きそうな気配となってきた。しかしそれには条件が付く。それは小泉政権の主張には強力なメッセージ性があること、第二に言行が一致し、言った限りは強力に実行すること、この二点である。
当たり前のことと言われるかもしれないが、前回述べたように、日本の閉塞状況は、実はこの当たり前のことが、当たり前でないことによって生じてきたからである。逆に言えば、できないことはできないといった方がいいのである。
賢明な日本の国民は、もうすでに何をやらなければならないか分かっているし、それをやらせないできたのは何かも分かっている。それはある種の業界団体や宗教団体や、その保護者として機能してきた経世会的政治家たちである。政官業のトライアングル構造を作り上げた40年体制と言われるものである。
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大泉一貫 オオイズミカズヌキ
東北大学農学部
助教授
1949年宮城県生まれ、東北大学卒業、東京大学大学院修了。農学博士。現在東北大学農学部助教授。専門は農業経営学、農業経済学。柔軟な発想による農業活性化を提唱。機関車効果や一点突破、客車農家など数々のキーワードで攻めの農業振興のノウハウを普及。著書に「農業経営の組織と管理」、「農業が元気になるための本」いずれも農林統計協会、「一点突破で元気農業」家の光、「いいコメうまいコメ」朝日新聞、「経営成長と農業経営研究」農林統計協会など。
大泉一貫の農業経営者論
政府による啓蒙・指導そして保護と支配の元に生きてきた「農民」が、「農業経営者」として自ら農業の経営主体の位置に踊り出してきている。しかし、農業界を含めて人々の農業や農業経営についての認識は、従来からの「農民的農業」の論理から解き放されているとは言い難い。研究者として農業経営学への新たな理論構築とともに、各地の農業経営者や関連産業人たちとともに農業の新時代を育てる実践的活動に取り組む大泉一貫氏に、農業経営者のための農業経営論を展開していただく。
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