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【シリーズ TPP特集 】
TPPとわが農業(3)
【農業者の育成】
染野実氏(茨城県坂東市)(2)
染野実氏(茨城県坂東市)(2)
- (有)ソメノグリーンファーム 代表 染野実
- 2013年01月30日
茨城県で有数の土地利用型経営を展開する農業法人を築き上げた染野実氏。近く来るかもしれないTPPに対しては、どう乗り越えようとしているのか。(聞き手・窪田新之助)
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交付金で弱い農業者に
――民主党はTPPの交渉参加を表明する一方で、その農政を振り返れば零細農家も交付金の対象にしてきました。そのことが農地の集積を妨げる要因として指摘されていますね。
本当だよな。農水省の予算が年間2兆円以上あるべな。そこから多くが戸別所得補償制度でじゃんすかじゃんすか、農家に配られているわけだよ。
――一体、どんな農業者を育てたいのかと思いませんか。
自民党時代の品目横断的経営安定対策では4haという面積要件があった。あれを続けていれば、育成すべきかすべきでないか、農業者の線をかなりきちんと切れたはずだろ。それが戸別所得補償制度になって元に戻った感がある。逆戻りしちゃうのは国として背骨がないんだよね。
――生産現場はどんな雰囲気なんですか?
たとえば県の認定農業者の会に行くとよ、県に対する要望書では、「手厚い保護をお願いします」みたいなのばっかし。そういう弱い農業者を育ててしまったんだよな。中には、「野菜の価格が安いから何とかしてくれ」って話をする奴もいるんだから、まいっちゃうよ。そういう人たちの数が多いから、国会議員は彼らの声を汲んで票に結びつけようとするから嫌になる。
――それでTPPに参加すると いうなら、産業としての自立を目指す農業経営者にとってみればたまらないわけですね。
交付金を与えて、あなた方の生活を保障しますという形のまま、TPPに参加するのはいかがなものかと思うよね。ただ単に大変だから、TPPでつぶれるからと言って、もらうのは体の良い買収だよな。まぁ、俺ももらっているわけだけど、何だか最初から外国と競争しなくていいと言われている様なもんだ。
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染野実 ソメノミノル
(有)ソメノグリーンファーム
代表
1960年茨城県生まれ。茨城県板東市。1980年、茨城県立農業大学校卒業後、家業の農業に就く。パイロットになる夢が消え、自暴自棄になって進んだ農業大学校は同級生より一月遅れで卒業した。そんな染野は、父の元で働くことの中で茨城県を代表する農業経営者の一人に成長した。2011年、経営面積は水田36ha、畑45ha(麦29ha、ジャガイモ6ha、陸稲10ha、ソバ12haを二毛作する)。売上1億4,000万円。
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