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人生・農業リセット再出発

「一炊の夢」

「一炊の夢」という言葉がある。唐の慮生という青年が趙の都で道士の枕を借りて眠り、人の一生に起こる栄枯盛衰のすべての夢を見たが、覚めてみれば炊きかけの粟飯がまだ煮えきらないくらいの短い時間であったということから、人生のはかなさを言う。まさに、儚いとは人の夢と書く。人生は短く、泡沫の夢なのである。
「一炊の夢」という言葉がある。唐の慮生という青年が趙の都で道士の枕を借りて眠り、人の一生に起こる栄枯盛衰のすべての夢を見たが、覚めてみれば炊きかけの粟飯がまだ煮えきらないくらいの短い時間であったということから、人生のはかなさを言う。まさに、儚いとは人の夢と書く。人生は短く、泡沫の夢なのである。

 高知県に「元気者交流会」というグループがある。国土庁で講演したのをきっかけに県庁主催の「竜馬の土佐に安馬がやって来た!」に始まり、四万十川地域や足摺岬まで含めて既に十四回も出かけた。そのたびにそのメンバーで、毎回酒を酌み交わす猛者の友人に川村一成さんがいる。土佐の八キンと言って女性の酒豪は男勝りであるが、朝から喫茶店でカツオのたたきを肴に酒盛りが始まることも珍しくない。それを相手する土佐の男はまた豪快で底抜けに明るい。

 彼の名刺には「百笑」と書いてある。米や野菜を作り、ポンカンの季節には全国の友人得意先へ直接発送する。年末には大量の門松作りを請け負い、それは元旦には見事な梅を咲かせるように仕組まれている。秋に旬を迎える珍しい竹の子も作っている。サッカーの高知県のコーチとしても飛び回り、ジャズ・ミュージシャンで有名な梅津和時さんを引き連れてバリ島ヘツアーを組み、現地の田んぼの畦道ではジャズのライブが始まる。それを聴きながら皆で田植えとくる。その後にヤシの樹の下でサッカーの国際親善試合と大宴会となるわけである。高知大学農学部を卒業後、五年間ほど市役所勤務をしていたが、我が道を活きるため山あいの実家で百笑になった、これほど愉快な生活は無いと笑いながら言う。農薬と化学肥料をできるだけ減らして安全な作物作りを進め、それで減収した分に減反補助金を当てるという方法をとれば過剰問題も解消され、減反も強制する必要が無くなる、それによって環境や水も守られ安全な食料を提供することで消費者の賛同も得られるはずだ。

 山紫水明の故郷を心から愛し、近くの小学校では児童たちが各自持参の小さな鉄釜で自らご飯を炊き、一粒残さずに食べる面白企画も実行中。

 焦らずケチらずとどまらず、住む処を楽しむ、出会いを楽しむ、生き方を楽しむ。ほどほどに貧しく悠然と。結婚十八年目にして出来た息子を抱きあげて白い歯を見せる彼の言葉には爽やかな説得力がある。一回こっきりの人生、自分の生き様を見つければ、これこそ天下一の百笑か。商いも「笑売」になれば面白い。「一成の夢」に心から拍手を送りたい。

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