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【シリーズ TPP特集 】
TPPの解き方(2)
【TPPをリードする日本に】
対談!慶応大・渡邊頼純教授&農業ビジネス編集長・浅川芳裕(最終回)
- 慶応義塾大学 総合政策学部 教授 渡邊頼純
- 2013年02月13日
GATT事務局での勤務のほか、日本・メキシコのFTAでは首席交渉官を務めるなど、名実ともに自由貿易交渉の第一人者である慶応大学の渡邊頼純教授。FTA交渉の実態のほか、TPPをめぐる国内議論について聞いた。農業ビジネス編集長・浅川芳裕との対談。(編集・窪田新之助)
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TPPへの参加を推進する旨、記された詳細が、各著作よりご覧になれます。TPPにまつわる誤解を正し、新たな認識を得る道標としてお役立てください。
中国も参加意向の雰囲気
浅川 TPPでアジアの成長を取り込むと言っても、成長著しい中国が参加しないという議論もありますが。
渡邊 それも「反対のためにする議論」だと思います。今年(2012年)4月に山東省の省政府から呼ばれて、TPPについて講演するとともに、先方の研究者と意見交換をしてきました。それで向こうの研究者は次のような4つのケースを想定して議論してきた。(1)中国と日本の両国が入る(2)日本だけが入る(3)中国だけが入る(4)どちらも入らない――というもの。それらについて彼らはすでに、きちんと研究していましたよ。中国にとってみればマレーシアやベトナム、タイとの競争の中で、米国への輸出で自国産品だけ関税の賦課を受けなくてはいけないのは、受け入れがたいことでしょう。山東省の省関係者の中には、日本より本当は早く入るべきという人もいたぐらいでしたから。
浅川 確かにFTAAP(アジア太平洋自由貿易圏)の流れがあり、それに対して中国は準備してきたわけですからね。
渡邊 2003年、まだ外務省にいた頃に中国・外務省のFTA担当課長と会う機会がありました。その頃国内ではですね、日本は中国や韓国よりFTAの締結で遅れているとされていた。そのことを言いましたら、彼は「それは違う」と。日本がシンガポールとのEPAを真剣にやり出したので、我々もおしりに火がつき、中国もFTAをやらざるをえなくなったと。日本ではFTAで日本が遅れていると思っていたが、そうではなかったんですね。そのころから真剣にやり出して、貿易に占めるFTAの比率は日本も中国も18、19%とほぼ同じですよね。
浅川 TPPでも中国は日本の動きを気にしているでしょうね。ところで国内の議論をどうみていますか?
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渡邊頼純 ワタナベヨリズミ
慶応義塾大学
総合政策学部 教授
在ジュネーブ国際機関日本政府代表部、GATT事務局、欧州連合日本政府代表部、外務省経済局参事官、外務省参与などを経て現職。主な著書に『TPP参加という決断』(ウェッジ)、『解説FTA・EPA交渉』(監修・編著、日本経済評論社)など。
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