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【今年の市場相場を読む】
入荷が増えた品目を追ってみる カブ・レンコン・小ネギ・アスパラガス
- (株)農経企画情報センター 代表取締役 小林 彰一
- 第60回 2001年06月01日
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カブ 根強い支持によって入荷増にも柔軟性千葉のノウハウで夏場・高冷地生産を
【概況】
東京市場のカブは、平成10年に前年比で 12%減って単価も161円となったが、その後増えつづけて10年12年対比では13%増、単価は2割以上安くなって120円。多かった平成9年の水準に戻ったという感じである。産地構成としては千葉県が75%という圧倒的なシェアがありこれに埼玉と青森とでほぼ95%。既存産地が強い品目である。年間通しての入荷ではあるものの、夏場は他のシーズンからみると半減。近年の傾向としては冬場に若干の入荷増傾向が見える。
【背景】
7~9月の3ヶ月の入荷は少なく、とくに8月が底になる。この時期に本領を発揮するのが青森県だ。シェアも4割を超えて、単価も高い。少なくて高いのは当たり前だといわれそうだが、東京地区では千葉産の高品質品に慣れていて消費者の目も肥えているために、単価の高さは品質のよさを裏付けるといっていい。カブは、いわゆる緑黄色野菜ではない。それにもかかわらず根強い人気があるのは、味噌汁の具にしても浅潰けにしても手軽で使い勝手がよい。しかも誰でもほとんど失敗なく使えておいしい。周年の利用ができて、しかも手軽、おいしいとなればこの品目は潜在的に支持されているとみていい。作柄の関係もあって、経年的にはデコボコがあっても、けして減少しているわけではないことを押さえておきたい。
【今後の対応】
周年産地の千葉の生産状況をみると、かなりコンスタントに作付けされており、相場の高安に関係なく供給できる体制が整っていることがわかる。こうした姿勢の品目は、基本的に需要者にとってはありがたい品目であり産地である。カブ栽培は簡単なようでいながら、実はその安定的な品質、収量保持は蓄積されたノウハウが必要である。その意味では、東京市場にとっては、優良産地である千葉県の存在は無視できない。これだけ安定的に高い品質のものを継続出荷してくれる産地があることは、非常に意味のあることである。カブはやはり土地土地で特色ある品種が栽培され、地場消費に対応している。基本的には調理特性は同じだろうが、それぞれの地域での味付けや調理法は異なる。大型のカブから二十日大根のようなものまで、バラエティーも豊かだろう。地域特産のカブとその調理法を、地域間で交流させるのも悪くない。とくに、直売所が増えてその商材不足がいわれているときだけに、どこでも身近な食材だけにカブなどはその対象品目になりうるだろう。
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小林 彰一 コバヤシショウイチ
(株)農経企画情報センター
代表取締役
青果物など農産物流通専門のジャーナリスト。(株)農経企画情報センター代表取締役。「農経マーケティング・システムズ」を主宰、オピニオン情報紙『新感性』を発行。著書に、『ドキュメント青果物市場』、『日本を襲う外国青果物』、『レポート青果物の市場外流通』、『野菜のおいしさランキング』などがあるほか、生産、流通関係紙誌での執筆多数。
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