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特集

産直のための鮮度管理技術
“予冷”で届けるお客さまへの心配り

予冷のための基礎知識


高温期に野菜をおいしくお客様に届けるには予冷処理がかかせない。予冷とは、ただ冷やせばよいというものではなく、野菜の種類・性状によって適した予冷の仕方がある。

(千葉県農業総合研究センター 生産工学研究室長 宮崎丈史)


 暑い季節になってきました。これからが収穫後の取り扱いで野菜の品質に差がつく時期です。「自分のところから出したときにはあんなに青々としていたのに、市場や消費者の手元に届いたときには黄ばんだり甘みがなくなってしまっていた」などということが後を絶ちません。せっかく丹精込めて作った野菜(商品)を、収穫後のまずい取り扱いで台無しにしてしまうことのないようにしたいものです。そこで、あらためて野菜の品質保持と予冷について考えてみましょう。


野菜は発熱体

 気温の高い時期の野菜は、それ自体が蓄熱体というばかりではなく、一つの発熱体でもあるのです。というのも、野菜として利用する部分は植物体から切り離されても呼吸をしています。ご存じのように、呼吸はエネルギーを蓄えている糖などの物質から自分の生命維持に必要なエネルギーを取り出す代謝作用にリンクしているものです。この代謝作用により、糖は二酸化炭素と水に分解され、同時に熱を放出します。この呼吸熱と呼ばれるエネルギーがどこにも発散できないと野菜の品温を上昇させる大きな要因になります。呼吸熱は時には品温を40℃以上にも上げてしまうものなのです。


野菜の呼吸量

 収穫してからの品質変化の目安となるのが呼吸量です。呼吸量は体内の代謝変化の大きさを表しているので、呼吸量の多いものほど品質変化は急激です。そこで、野菜が植物のどの部位を利用したものであるか、またどの程度の成熟段階(熟度)にあるものかを知っておくと便利です。というのも、これらが呼吸量や水分蒸散の多少に大きく関わっているからです。たとえば、アスパラガスやタケノコは若い芽、幼茎の部分であり、ブロッコリーやナバナは花蕾です。また、スイートコーンやエダマメは未熟な種子であり、ホウレンソウは伸び盛りの葉です。こうした芽、葉、未熟種子といった部分の野菜は一般的に呼吸量が多いものです。これに対して、根菜類(ニンジン、ダイコンなど)やイモ類(サツマイモ、サトイモなど)のように地中で生育する根や茎を利用する野菜は呼吸量が低く、また、キュウリなどの果菜類はこの中間に属しています。表1に代表的な野菜の呼吸量(二酸化炭素排出量)を示しました。

 このように、野菜の呼吸量はもともと品目別に違いがありますが、一方で呼吸量は温度にも依存していて、おおよそ品温が10℃上がるごとに2~3倍になります。つまり30℃でと10℃での品温では10倍も呼吸量が違うことになり、発熱量も大きな差があります。このため品温が高いと、代謝が盛んになって発熱量が増える、その熱が内にこもって品温をさらに上げる、といった具合に品温はどんどん上昇してしまいます。この悪循環の元を断ち切るのが予冷を中心とした低温処理です。低温処理は品質保持手段のなかで最も顕著で安定した効果を示し、呼吸量の高い野菜ほど効果的だと言えます。

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