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シリーズ TPP特集

TPPの解き方(3)
【虚偽の報道】
キヤノングローバル戦略研究所・山下一仁研究主幹

  • キヤノングローバル戦略研究所 研究主幹 山下一仁
  • 2013年02月27日
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TPPは「農業問題」ではなく「農協問題」という、キヤノングローグローバル戦略研究所・研究主幹の山下一仁氏。農協はなぜTPP参加に強く反対するのか。それは本当に農家のためなのか。そのカラクリを解き明かすことで、農業問題の本質も見えてくるという。国内有数の農政通である同氏に話を聞いた。(取材・まとめ・窪田新之助)

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人口減少時代こそ自由貿易

――ただ、今後も高米価を維持すれば、内外価格差が大きくなってしまう。それは取りも直さず、農業者にとって自殺行為となる危険性がありますよね。外国産との競争力を抑えてしまっているわけですから。

そうだね。それと、これから日本の国内マーケットが縮小することも想定しなければいけない。輸出をしなければ日本の農業は生き残れないし、食の安全保障に必要な農地などの農業資源を維持できない。つまり、人口減少時代では自由貿易こそが食の安全保障の基礎になる。その時にコメのように高い価格、高い関税で守るという保護を続けては、海外市場に打っていけない。そうじゃなくて、直接支払いというアメリカやEUがやっているような政策に転換すべきだ。

――その点、間違った保護政策が根強いですよね。だからJAグループは1000万人以上の反対署名を集められた。このことをどう思われますか?

それは何より、『日本農業新聞』の大洗脳能力だよね。彼らは時々、嘘を書く。例えばTPP反対キャンペーンを見ていると、野菜農家を登場させて、「TPPに参加すると、小さな野菜農家は壊滅的な打撃を受ける」と言わせている。でも、野菜の関税は非常に低いでしょ。

――おおよそ数%ですよね。

花農家にも反対と言わせているけれど、花は関税がゼロでしょ。TPPに参加してもゼロはゼロのままなわけで、それがなぜ壊滅的になるのと。不思議で仕方ないよね。日本の農家のかなりの人は、『日本農業新聞』がJAの機関紙だということを知らないんじゃないの? ガット・ウルグアイラウンドの時もそうだったけれど、TPPのことを連日取り上げているでしょ。あれだけ報道している新聞はほかにないから、あそこに書いているのが全て真実だと思っているんじゃないかな。

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