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田牧一郎のカリフォルニア稲作便り

低迷打破のためのチャレンジ

4月下旬から好天が続き、5月に入って記録的な高温となりました。このため、種播きの準備作業も急速に進み、5月中旬までにかなりの面積で種播きを終えました。5月も下旬になり最高気温も平年並みの30℃程度に戻りましたが、夏に向かっていることは間違いなく、35℃を超える日も珍しくなくなりました。
 4月下旬から好天が続き、5月に入って記録的な高温となりました。

 このため、種播きの準備作業も急速に進み、5月中旬までにかなりの面積で種播きを終えました。

 5月も下旬になり最高気温も平年並みの30℃程度に戻りましたが、夏に向かっていることは間違いなく、35℃を超える日も珍しくなくなりました。


●作付け面積の減少


 この暑さで稲の生育は順調に進んでいます。5月中旬に種をまいたものも2週間ほどで水田が緑に見えるようになりました。時折風が吹き、芽が出たての若苗のなかには、波にもまれ水田の岸に寄せられてしまうものもあります。

 そんな水田風景の中で、今年は耕されたまま種播きされないで休耕田として放置されている水田が見られます。カリフォルニアの昨年の作付け面積の15%~20%が休耕田となりそうです。それには大きな理由が3つありました。


●水はあるけど水不足


 まず水問題です。

 水田地帯で必要な水は確保でき、100%の作付けが可能となりました。

 しかし一部のダムでは平年の50%前後しか水のないところもあり、水不足になっているところもあります。

 電力不足も相変わらず改善されないため、 暑い夏に向け水力発電用の水の確保も問題になっています。

 このような状況もあって、4月下旬に水利用組合が、水を買い戻す提案を生産者に提示しました。私の地域では1エーカー当り160ドルであり、借地代金にも満たない額です。しかし自作地の場合は確実に入る収入であり、最近のコメ相場で考えると悪くない金額にも見えます。

 このため、水利用組合の提案を受け、水を販売してコメの作付けを中止し、休耕田となったものがあります。


●底を打っていない国際相場


 もう一つは2001年産の籾価格の低迷予想です。

 一昨年から下落が続くコメの国際相場は、未だに上昇する気配さえ見えない状況です。そして昨年は、カリフォルニアの作付け面積が増加し、在庫がだぶついています。そのため今年の中粒種に提示された精米会社からの契約価格はきわめて低く、生産しても利益を見込めるようなものではありません。

 精米会社も厳しい国内競争があり、高い原料を購入する余裕はありません。そして輸出も国際相場が低く、カリフォルニアのコメよりさらに安いものが流通しており、簡単に販売できる状況にはありません。

 今年の生産が大きく減少しない限り、カリフォルニア米の価格の上昇は考えられません。

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