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【シリーズ TPP特集 】
TPPとわが農業(4)
【変革の時期】
宮坂隆男氏(北海道別海町)
- (株)デーリィーファーム宮坂 代表取締役 宮坂隆男
安倍晋三首相は近く、TPP交渉への参加を表明する見通しだ。すでに交渉に入っている11カ国が目指す妥結の時期は10月。コメとともにセンシティブな品目である畜産を営む農家はどんな心境でいるのか。25年前から農政について農水省との勉強会を設けてきた、北海道根室地域の農業者でつくる根室酪農情報プラン会議の会長を務める宮坂隆男氏に話しを聞いた。(取材・まとめ・窪田新之助)
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露見した危機的状況
――国内議論が再燃しているTPPについて、宮坂さんはどんな思いでみていますか?
昨年、ショッキングな出来事があった。それは輸入される乳製品を乳量に置き換えた場合、国内で生産された加工用乳量を上回ってしまったこと。これは初めてのことなんだ。もはや酪農にとってみれば、日本がTPPに参加するかどうかに関わらず、非常に厳しい状況を迎えているといえる。
――そうした危機的状況はあまり知られていませんね。なぜ、そんな事態になってしまったんでしょう?
経営改善や構造変革の取り組みを躊躇(ちゅうちょ)してきたからだろうね。このままでは、牛乳の生産量、生産者は減少していくだけだ。もはやTPPを遠ざけていても、農業問題の本質的な改善にはつながらない。むしろ自由貿易という世界的な潮流の中で、酪農経営も変革を迎える時期に来ているのかなと思っている。 今までは自由化の問題を正面から対峙するのを避け続け、問題の先延ばしをしてきた。しかし、そのことで果たして国民が大きな利益を得たのだろうか。生産者や農村社会は活力を増大させたのだろうか。そうではないと言いたい。(続く)
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宮坂隆男 ミヤサカタカオ
(株)デーリィーファーム宮坂
代表取締役
1946年東京生まれ。東京農大農業拓殖学科中退後、北海道で酪農実習、千葉県畜産試験場畜産研修生を経て、酪農場、西春別農協で人工授精師勤務。1976年、結婚後妻の実家で就農し、総頭数130頭、草地60haから経営開始。2007年法人化し、代表取締役に就任。現在の経営規模は総頭数460頭、生産乳量2850t、飼料畑240ha。根室酪農ヘルパー協議会委員長、西春別酪農ヘルパー利用組合長、21‘C根室酪農情報プラン会議会長(酪農家政策研究グループ)、TMRセンター(有)ウェストベース取締役を兼務。
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