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【シリーズ TPP特集 】
TPPの解き方(3)
【参加による影響と対策】
キヤノングローバル戦略研究所・山下一仁研究主幹
- 2013年03月13日

TPPは「農業問題」ではなく「農協問題」という、キヤノングローグローバル戦略研究所・研究主幹の山下一仁氏。農協はなぜTPP参加に強く反対するのか。それは本当に農家のためなのか。そのカラクリを解き明かすことで、農業問題の本質も見えてくるという。国内有数の農政通である同氏に話を聞いた。(取材・まとめ・窪田新之助)
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内外価格差は直接支払いで補償
――山下さんは、日本がTPPに参加するなら内外価格差については直接支払いで補えばいいという主張ですよね。これに対して反対派は、過剰な予算が必要になるという意見ですが。
あれも嘘だよね。過剰な予算が必要になるという主張だが、その算出方法を見ました? 国産の米価を1俵1万4000円、外国産を3000円で比較しているんだから。実際のところはカリフォルニア米なら8000円でしょ。それ以上におかしいのは、コメの年間生産量を900万tで計算していること。コメの生産量は800万tしかないのに、なぜ900万tになるのか。そうやって意図的に数字をいじっているから、おかしな金額が出てくるんだ。
800tには農家が個人でやっている縁故米や自家飯米もある。それらまで直接支払いをするんですかと。戸別所得補償の対象量は600万tもないでしょう。それに、さっき話したように減反を廃止すればコストは下がって収益も上がるから、直接支払いの額もそれほど大きくはならない(前回参照)。事実無根のTPPおばけには気をつけないと。
――それでも、日本はTPPおばけに怯え続けていますよね。
果樹や野菜の関税は数%に過ぎない。だから、繰り返すようだけど、TPPに入ったところで大きな影響はないんだ。これはしっかり認識してもらいたい。コメにしても、影響が出るのはだいたい8から10年後。関税はゆっくり下げられるわけだから、その間に対策はできる。
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