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立場によって変わる「正義」
「農薬」とは何か?本誌読者であれば、現代の農作物に対する多様なニーズに対応させるべく農業経営にはなくてはならない資材と思うところだろう。しかし一般消費者の中には、まだ「農薬=毒」の図式が根強く残っていることも事実としてある。
本書は農業界を題材とした社会派小説である。主人公のひとりである平井は日本三位の大手農薬メーカーの開発研究者。ある日、平井の息子が静岡の茶園に自然教室に参加しているときに事故は起こった。農薬散布をするラジコンヘリが自然教室の集団の中に墜落し、子供たちが大量の農薬を曝露する。ラジコンヘリでの農薬散布は高濃度での散布が許される。そして、その材は平井が研究開発をした農薬だった。農薬を吸い込んで自分の息子が病院に運ばれた…。
この平井の他にも主人公は存在する。農水省の女性キャリア官僚の秋田。元戦場カメラマンであり農薬を毛嫌いする養蜂農家の代田。それぞれの「正義」が交錯する。特に農水省食料戦略室が打ち出す強い農業の確立プランは本誌読者であればニヤリとするところだろう。(並木訓)
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