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人生・農業リセット再出発

「従流史不変」

「従流史不変(じゅうりゅうしふへん)」とは、世の中の流れや変化にはついて行くが、自分の信念を変えないことを言う。足元を大事にする天上天下唯我独尊でもある。
「従流史不変(じゅうりゅうしふへん)」とは、世の中の流れや変化にはついて行くが、自分の信念を変えないことを言う。足元を大事にする天上天下唯我独尊でもある。

 兵庫県北部日本海に近い但馬山中、猪も出る小人ロの大屋町はかつて日本一のスズ産出を誇った明延鉱山廃坑後、過疎対策に悩んでいるが、信号機が一つも無い町として長年売り出していた。最近になってようやく信号機が付いたらしいが、修学旅行では大阪などの都市へ信号機実習も兼ねていたというから面白い。そこに農業を営む青年、上垣康成君がいる。歯科技工士を目指していたが今は校長を退職した父と一緒に但馬牛畜産と合鴨農業に精を出している。土地はあるが人手が足りない全国共通の悩みを抱えている。そこで近畿の都市部へDMを出して、田植えから手入れ、刈り取りまで自分でやり、その収穫の何俵分かを分かち合う方法を考えた。手紙の送り先は私が紹介したが、かなりの反響で数家族が参加して田圃に裸足で入っている。以来素敵な鴨鍋交流も芽生えているとか。この町の青年たちは「過疎を逆手に取る会」も作り、ハッタリ八割・ウソ二割から取った「ホラ八の会」を始め、会長と肩書の付く、書ききれないほどのタイトルが一枚の名刺に並んでいる。すべて言い出しっペが会長に就任して一晩に数件の会合・飲み会を持つ。

 彼らとの出会いは、ドイツからボランティアでやってきたクラシック・コンサートの日本縦断ツアーを企画していた時のこと。新聞やTVで見たのだが、我が町にも是非来て貰いたいと電話の向こうでは必死な様子。飲み会での話…羨ましいことだが町にはピアノが無い。だったら買えばいいじゃないか。ところでいくらだ。最高のベーゼンドルファーで一千万円! よし、じゃあ皆でカンパを集めよう。翌日から酒の勢いに任せて行動開始。頭金が集まったところで気の早い連中はその高価なピアノを注文。すでにトラックはこちらに向かっているから、コンサートが来てくれないと全員首をくくるしかない、そんな後先のことを考えない悲痛な訴えである。この狂気にも似た熱意に動かされた。全国十五ヶ所の会場で一番燃えたのは言うまでも無い。会場では小学生がカンパに立った。それが高じて、豪華なコンサートホールまで造った。浄財流出をさせない為に大工も木材もすべて町内産に限った。そして著名人を盛んに呼んで定期演奏会を行う有名な音楽の町に変貌した。貸し別荘も作るなど次々とアイデアを実現させている。

 既成事実を無視、進歩の無い十年一日の安寧を根底から引っ繰り返すような危なっかしいキワモノ集団である。が、それは大変な人財である。キワ崩しの異端児が村の高台に立って笛を吹き始めた時に、出る杭を打つようであればお仕舞い。出る杭は打たれるが、出過ぎる杭は打ちにくい! より高く出るようにこそ応援する面白・村社会が肝要である。偏屈なほどの変わり者が歴史を変える。コペルニクスに始まり宗教革命しかり、明治維新では脱藩浪人たちの若き獅子たちが立ち上がった。後の英雄も当時ではみんな変わり者である。

 錆は鉄より出でて鉄を腐らせ、愚痴は人より出でて人を腐らす。ヤラなかったのかヤレなかったのか? ヤラずしてヤレなかったと口実を見つけるのは容易だ。変わり者に変革を任せてみるのも、すがすがしい汗が期待できるかもしれない。

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