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土門「辛」聞

農水省の焦りで見えてきた減反終焉の日

 多くの生産者は、その軋轢を避けて農作業請負に走った。その動機は実に単純。集落と農協と折り合っておれば、補助金や農林漁業金融公庫の低利融資にもありつけると考えたのだ。この連中には減反問題などさほど関心はない。稲作でも畑作でも使う作業機械は基本的に同じ。減反という視点で考えたら、利害関係の周辺居住者という位置づけになるかもしれない。この手の生産者は、土作りもさほど関心なし。別の表現で説明すれば、「農業土木作業員」ということになろうか。

 わが農政は、かくのごとき農業土木作業員を多く誕生させた。泣けてくるのは、こんな連中に、やれ経営者だ、認定農業者だと、おだて上げて、補助金を垂れ流し、公庫融資の対象にしてきたことである。そのツケはいずれ回ってくる。高齢農家が引退して遊休農地が急増しても、この連中は遊休農地解消の助っ人にはなり得ないのだ。これは本誌読者のような真っ当な生産者に「僥倖」(偶然に得る幸運)をもたらしてくれる。地代や農地価格の低下を招いてくれるのだ。米価反騰をもたらす「幸運の女神」にもなり得る。

 流通サイドは、コメが流れていく順に全集連、全米販、日米連にお声がかかった。どの組織も、新食糧法後は自分の居場所をすっかり失い、米小売の集まりである日米連に至っては、流通シェアが6%台という体たらくである。「売る自由」が浸透して、生産者による産直、スーパー、外食にシェアを奪われたのだ。

 全集連も名存実亡組。集荷のシェアは全国ベースで5%しかない。県によっては大健闘組もあるが、概して旧食管時代の遺物的存在と成り下がってしまった。商人系業者のプライドがあるかと思えば、そうでもなさそうだ。行政や農協組織に尻尾を振り、真っ当な生産者には相手にされず、どちらかといえば盲腸のような存在と評した方がわかりよいか。

 あらためて合意書に目をやっていただきたい。サインをした面々といい、その内容といい、合意書などマーケットでは何の意味もない。

 さて本論の「生産調整目標達成のための合意書」の中身を吟味してみよう。結論を先に申せば、文面からも減反で打つ手なしという農水省の焦りが伝わってくる。それを裏付けるのが、正月早々(1月18日)に総合食料局計画課長氏が、減反未達成ナンバー1、福島県へ足を運んだ時のエピソードである。県の水田農業推進協議会に出席して減反の協力を呼びかけること自体、滅多にないこ。その舞台裏を披歴申し上げよう。

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