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土門「辛」聞

農水省の焦りで見えてきた減反終焉の日

 この地には減反方針に異を唱える骨太の商人系業者は多い。この日も「不穏」な空気が流れていた。それを察知した司会役(某農業団体)が一芝居を打ってきた。計画課長氏ご臨席の前で、粗相があってはならぬと、減反政策に異を唱えるような意見を発表させぬようにしたのだ。会議室を支配していた沈黙の「空気」を打ち破るかのように、司会役は商人系業者が送ってきたというメッセージを代読、何事もなかったように会をお開きにしてしまった。

 メッセージの主は、会議参加者によれば、全集連系業者ということである。どの世界にも、尻尾を振り続ける「犬」はおるものだ。

 計画課長氏はそんな裏事情を知る由もない。おそらく本省に戻られて「福島県は過剰作付け是正に向けて商人系業者も本腰を入れて取り組むことを決議した」と報告されたであろう。減反行政なるものは、所詮このようなことの連続だったのである。

 農水省の焦りを示すのは、合意書の第三項で減反未達成の都道府県について「最大限の努力を徹底的に行う」とした点であろう。これとの関連で気になるのは、12月21日、農水省が公表した「当面の生産調整の進め方」に示された認定農業者へのペナルティ措置である。

 「認定農業者であることが要件となっている農林漁業金融公庫のスーパーL資金については、今後(平成16年8月の借用証書変更以降の借入れに適用)、生産調整非実施となったことを理由に認定農業者の認定が取り消された場合には、繰上償還を求めるとともに、農林水産長期金融協会からの利子助成の措置を停止する」

 ここで平成16年8月の借用証書変更以降と区切ったのは、その年に認定農業者の要件が変更になり、「減反遵守」を盛り込まれていたからだ。この条項がある限り、理屈的にはペナルティは合法となる。ただペナルティ発動は難しいだろう。経営局の某幹部(課長級以上)も某県で開かれた講演後の懇親会で「実際、過剰作付けしても、償還の繰り上げはできないだろうな」と正直に漏らしておられた。自ら「空砲」だということを半ば認めておられる点では好感が持てる。

 大規模生産者の自殺や倒産のニュースが各地から伝わってくる。秋田・大潟村は昨年2人が自殺している。いずれも40代の生産者ということだ。福島・猪苗代でも自殺者が出ている。山形・庄内地方は昨年1年間で9人の倒産者が出たという。それまでの6年間に出た倒産者の数と同じだった。米価暴落で加速度的に倒産者は増える傾向にある。この「空砲」に慌てふためき、狼狽する生産者の姿がまぶたに浮かぶ。

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