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土門「辛」聞

農水省の焦りで見えてきた減反終焉の日

 憤りを覚えるのは、日本農業法人協会と全国稲作経営者会議の両会長の無責任な態度である。今回の合意書には、具体的な中身が何も書かれていないのに、会員の意見も聞かずにサインをしたことだ。両会長は会員への説明義務がある。しかも全国稲経の某幹部は、減反について生産枠の優遇措置を受けている。これで会員に減反を守れと言えるだろうか。

 市町村レベルでの水田農業推進協議会はこれからが本番である。現場は違う方向で動いているエピソードも紹介しておこう。会津地区の商人系業者のレポートでは「農家さんに声をかけても、そんな場には出てきません。それが農家の無言の抗議であり抵抗です」ということのようだ。

 旧食管時代も農水省の役人は米政策に手を焼いた。キャリア幹部で列車に飛び込んだ者もいた。過労死して新聞の社会面に追悼記事が出たこともあった。不合理な政策に憤怒して発狂した者もいた。同じ理由で出家をする者が2人も出たという事情通の話もある。米価や減反は斯くほどに難しい政治問題だが、所詮、マーケットには抗えないということを理解するべきである。

 12月12日、自民党代議士の加藤紘一代議士が2度目の大潟村入りをした。無責任な政治家の言動には怒りを感じる。加藤氏は集まった100人以上の生産者に対し「山形は今の政策を守る。農家が馬鹿を見ないように10a当たり5万円の緊急一時金を出した」と大見得を切った。

 本誌読者なら、この緊急一時金は減反に応じた場合のメリット措置になり得ないことはすでに見抜いておられるだろう。これで農家がどうして馬鹿を見ないか、加藤氏は計算の根拠をきちっと示すべきである。筆者の試算でも、この緊急一時金をもらって、他の補助金を付け足しても、絶対にフル作付けした方がプラスになる結果が出てきた。フル作付けは最低でも10a当たり2万円の差はある。いかに零細兼業農家でも加藤氏の発言はウソであることを見破ってしまうに違いない。

 マーケットの先行指標となる種籾の売れ行きは今年産も順調のようである。これに天候がよければ、豊作は避けられず、米価のもう一段安は覚悟せねばなるまい。何も恐れることはない。これが契機となり零細規模農が農機の更新時を境に猛スピードで離農していくのだ。その前に補助金漬け大規模農家の倒産も続出するだろう。農水省が大きな期待をかけた集落営農は1年で見事に破たんしてしまった。

 離農後の農地を引き継ぐ生産者は圧倒的に少ない。優秀な青年を農村から追い出し、農業土木作業員しか作り出せなかった農政のツケが、コメの需給均衡を呼び込み、ほどなく米価がV字カーブを描いて上昇に転じていくだろう。すべてのコメが上昇するわけではない。土作りをしたコメだけが余慶にありつけるのだ。

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