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【シリーズ TPP特集 】
TPPの解き方(4) 【TPPに勝つ方法 国家介入型から、経営の自由度を高める農政へ転換せよ】 農業ビジネス編集長 浅川芳裕
- 農業ジャーナリスト 浅川芳裕
- 2013年04月17日

安倍晋三政権は、農産物の輸出拡大構想を進める前に、国内農業の足元を固める必要がある。国家介入型の農政から「農家経営の自由度を高める農政」への転換だ。
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その方向性は、TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)反対派農家の声に、真摯に耳を傾ければ明らかになる。
反対派の多くは、国の農業政策に真面目に従った結果、取引先からの収入よりも、助成金に依存した赤字経営となった。しかも、助成される農産物はすべて政府が長年、「高関税で守る」と約束してきた品目だ。
TPPで農業壊滅-と取り沙汰されるなか、いくら安倍首相が「農業・農村を守る」と発言しても、彼らが不安になるのもうなずける。今後の農業政策の具体案は示されず、国家財政が危機的状況のなか、助成額が続くかどうかも不透明な状況なのだ。TPP反対農家は単純に、自らの判断で未来を切り開ける自信がないのである。
他方、TPP容認・賛成農家は国の介入の少ない品目を作り、顧客を開拓し、低関税でも採算ベースに乗る経営をしている。だから、自ら今後の展望が開ける。将来に多少の不安はあっても、それをTPPのせいにはしない。仮に少しでもTPPで経済が良くなった方が、自分の経営にとってプラスだと肌身で分かっている。
日本の農業生産額の3割を占める野菜の関税は、多くの品目で3%。5000億円市場である花はTPPを待たずとも初めから関税ゼロである。果物の関税は5~15%程度だ。野菜や花、果物のほか、すでに低関税の鶏肉や卵、雑穀などを合わせると、生産額の合計は4兆5000億円で、日本農業全体の約6割に達する。補助金もほとんどなく、農家の自助努力による黒字生産品目だ。
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浅川芳裕 アサカワヨシヒロ
農業ジャーナリスト
1974年山口県生まれ。1995年、エジプト・カイロ大学文学部東洋言語学科セム語専科中退。アラビア語通訳、Sony Gulf(ドバイ)、Sony Maroc(カサブランカ)勤務を経て、2000年、農業技術通信社に入社。元・SOGULマーケット専門官。元月刊『農業経営者』副編集長。現在ジャガイモ専門誌『ポテカル』編集長。2010年2月に講談社より発行された著書『日本は世界5位の農業大国-大嘘だらけの食料自給率-』がベストセラーになる。最新刊に『TPPで日本は世界1位の農業大国になる ついに始まる大躍進の時代』(KKベストセラーズ)がある。
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