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【シリーズ TPP特集 】
TPPの解き方(5) 【公平な仲裁の実現(上)】 京都大学大学院法学研究科 濵本正太郎教授
- 濵本正太郎
- 2013年04月24日

日米による事前協議の合意で日本のTPP交渉への参加が事実上決定した中、国内の調整に当たって最大の懸案事項となっている一つにISDS条項がある。いわゆる巷間で噂される「毒素条項」。国民の安全を守ってきた各種の規制が、外国企業の訴えによって緩和や撤廃させられる可能性があるというのだ。果たして実態はどうなのか? 国際的な投資の協定やその仲裁の事案に詳しい国際法の第一人者に話を聞いた。(取材・まとめ・窪田新之助)
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ISDは間違い
――TPP参加の是非を巡ってよく取り沙汰されるISDS条項ですが、そもそもどんな意味なんですか?
ISDSというのは、Investor State Dispute Settlementの略。つまり投資家と国家の紛争処理のことです。
――「ISD」と、最後の「S」が抜けた表記を時々見かけますが?
ああ、あれは単なる間違い。「Settlement」が抜ければ、意味をなさないですから。ISDSが正解です。
――言葉が正確に表記されていないこと自体、日本ではまだ馴染みがないんでしょうね。そのISDSですが、いつごろから出てきた話なんですか?
条約に基づいて紛争処理するという形が取られるようになったのは、1990年代の半ばぐらいですね。
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濵本正太郎 ハマモトショウタロウ
1970年、福岡県糟屋郡古賀町(現・古賀市)生まれ。1988年、京都大学法学部入学。95年、同大学大学院法学研究科で修士(法学)取得。1998年から2000年まで同大大学院法学研究科助手、06年まで神戸大学大学院法学研究科助教授、09年から現職。この間、パリ第一大学招聘教授(国際投資法)、欧州評議会アンチ・ドーピング条約モニタリンググループ法律問題諮問委員会専門家委員のほか、国連国際商取引法委員会第二作業部会や経済開発協力機構 投資委員会などで日本政府代表を務める。
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