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【シリーズ TPP特集 】
TPPの解き方(5) 【仲裁の段取り】 京都大学大学院法学研究科 濵本正太郎教授
- 濵本正太郎
- 2013年05月08日

日米による事前協議の合意で日本のTPP交渉への参加が事実上決定した中、国内の調整に当たって最大の懸案事項となっている一つにISDS条項がある。いわゆる巷間で噂される「毒素条項」。国民の安全を守ってきた各種の規制が、外国企業の訴えによって緩和や撤廃させられる可能性があるというのだ。果たして実態はどうなのか? 国際的な投資の協定やその仲裁の事案に詳しい国際法の第一人者に話を聞いた。(取材・まとめ・窪田新之助)
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――ところでISDS条項に基づく仲裁とは、どうやって進むんですか?
それは投資家が仲裁人を一人、訴えられた国も一人を選定する。それから相互の話し合いでもう一人別の仲裁人を選んだ後、仲裁廷をどこにするか決めます。そこで仲裁人の3人で話し合った結果の判断は法的な拘束力を持ちます。
――申し立てはどこにするんですか?
それは条約によって違います。オプションが与えられている条約があって、一番よく使われているのは世界銀行のもとにある投資紛争解決国際センター(ICSID)。あるいは仲裁機関ではないが、仲裁手続きのルールを作っている国連の国際商取引法委員会というのがあって、そこのルールに基づいて仲裁をするケースもある。
――仲裁というのはどこであるんですか?
仲裁というのは非形式的なものなのでして、たとえばどこかの裁判所の法廷を借りたり、ホテルの一室だったり、事務所だったり。それは当事者同士が決めることですね。
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濵本正太郎 ハマモトショウタロウ
1970年、福岡県糟屋郡古賀町(現・古賀市)生まれ。1988年、京都大学法学部入学。95年、同大学大学院法学研究科で修士(法学)取得。1998年から2000年まで同大大学院法学研究科助手、06年まで神戸大学大学院法学研究科助教授、09年から現職。この間、パリ第一大学招聘教授(国際投資法)、欧州評議会アンチ・ドーピング条約モニタリンググループ法律問題諮問委員会専門家委員のほか、国連国際商取引法委員会第二作業部会や経済開発協力機構 投資委員会などで日本政府代表を務める。
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