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【シリーズ TPP特集 】
TPPの解き方(5) 【日本の対応】 京都大学大学院法学研究科 濵本正太郎教授
- 濵本正太郎
- 2013年05月15日
日米による事前協議の合意で日本のTPP交渉への参加が事実上決定した中、国内の調整に当たって最大の懸案事項となっている一つにISDS条項がある。いわゆる巷間で噂される「毒素条項」。国民の安全を守ってきた各種の規制が、外国企業の訴えによって緩和や撤廃させられる可能性があるというのだ。果たして実態はどうなのか? 国際的な投資の協定やその仲裁の事案に詳しい国際法の第一人者に話を聞いた。(取材・まとめ・窪田新之助)
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2002年ごろから本腰
――日本もこれまで13のEPAを結んでいて、そこにはISDS条項を積極的に入れていますよね?
そうですね、入ってないのはフィリピンとのEPAだけ。あれは、フィリピン側が強硬に反対したので、実現しなかったと言われています。それからEPAとは別にですね、投資のみに特化した投資協定も同じぐらいの数がある。未発効も含めれば30ぐらいになるはずです。
――経済協定の中にISDS条項を入れる、入れないは当該国同士の判断ですよね。日本は積極的にISDS条項を入れていったんですか?
恐らく2002年前後で態度変更があったんでしょう。日本政府はそれまでは何となく、深い考えなしにやっていたと思います。
それまでは投資協定しか結んでいないんですが、それは簡素なものでして、かつ条約の内容も一貫していると言えないようなものだった。それに一応仲裁条項を入れているものの、その内容もさまざまでしたね。
投資立国に向けて
――それが2002年ごろから変わるんですか。
そうです。これはEPAを積極的に結ぶ時期と一致するんですが、細かい内容の条約が結ばれるようになり、詳細な手続きが定められるようになりましたね。
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濵本正太郎 ハマモトショウタロウ
1970年、福岡県糟屋郡古賀町(現・古賀市)生まれ。1988年、京都大学法学部入学。95年、同大学大学院法学研究科で修士(法学)取得。1998年から2000年まで同大大学院法学研究科助手、06年まで神戸大学大学院法学研究科助教授、09年から現職。この間、パリ第一大学招聘教授(国際投資法)、欧州評議会アンチ・ドーピング条約モニタリンググループ法律問題諮問委員会専門家委員のほか、国連国際商取引法委員会第二作業部会や経済開発協力機構 投資委員会などで日本政府代表を務める。
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