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特集

市場の新野菜

特に外食を中心に、様々な国の料理が食されるようになった。それに伴って新野菜の需要も伸びている。現在のところその供給は、ほとんどが輸入に頼ったものだが、国内での生産が徐々に増加している新野菜もある。野菜卸の大手である(株)足立松源の荘司さんに新野菜の需要に関する現状と課題についてうかがった。
新野菜は外食・中食を中心に需要増。日本人の食のあり方がその将来を握る。

株式会社足立松源 営業企画室長 荘司定男さんに聞く


編集部 近年、海外の料理を扱う料理店が増加しています。フランス料理だけでなく、イタリア料理、アジア料理などバリエーションも増え、個店だけでなくチェーン展開をする企業もそういった料理を提供するようになりました。それに伴って、それら料理で使われる新野菜の需要も伸びていると思うのですが、それら新野菜の需要と供給についておうかがいできればと思います。

荘司 確かに、特にここ2、3年新野菜の需要は伸びているようです。供給の方はどうかと言うと、まだそのほとんどが輸入に頼っている状態です。例えば平成10年度で言いますと、チコリがベルギーやアメリカなどから7681t輸入され、アーティチョークがカリフォルニアから28t輸入されています。一方、近年少しずつ新野菜の生産者が国内で出始めているのも確かです。例えばアーティチョークが神奈川県の三浦地区、チコリが埼玉県のさいたま市などで生産されています。


外食・中食が需要の中心

編集部 国内での野菜の需要が全体として低迷している中で、新野菜は特需と言ってよい状況なのでしょうか。

荘司 ある程度そう言えるでしょう。ここに1985年から1999年の15年間の生鮮野菜の消費量を日米で比較したデータがあるのですが(注‥比較可能な特定13品目【サヤエンドウ、キュウリ、マッシュルーム、豆・グリーンピース、キャベツ、馬鈴薯、トマト、ナス、ニンジン、ピーマン、ホウレンソウ、レタス】)、アメリカでは野菜の摂取量を増やしましょうという運動を国を挙げてやったこともあり、15年前と比べて一人当たりの野菜の年間摂取量が14.93kg増えています。逆に日本の場合、15年前に比べて4.2kg減っている。唯一日本で増えているのが、マッシュルームとレタスです。

 数字上レタスは増えているが、今までの結球レタスは増えていないのです。この「レタス」という範疇には、新野菜であるコスレタス、ロメインレタス、エンダイブといったものも一緒にくくられています。それら新野菜の需要が外食や中食で増えたということが、レタス全体の需要増につながっているのです。結球レタスだけであれば、その摂取量は他の野菜同様、減少していると言ってよいでしょう。

 マッシュルームについても、需要が伸びているのは一般消費ではなく外食です。特に伸びているのがピザで、マッシュルームでもホワイトよりブラウンの需要が伸びています。国内生産量も伸びている。

編集部 需要増の中心は外食や中食にあるということですね。

荘司 そうです。私たちは小売、生協、外食等いろいろな業態を手掛けていますが、新野菜としては一般の小売りではほとんど需要がありません。スーパーなどのバイヤーさんたちから、例えば、チコリを集めて下さいと私たちに言ってくることはほとんどないと言ってよいでしょう。私たちは外食企業、例えば居酒屋の方々ともおつきあいがありますが、メニューをみた限りでは、結球レタスは一切使っていないところもあります。シーザーサラダでも全てロメインレタスを使っている。結球レタスは外食産業では衰退し、ロメインレタスやコスレタスに変わりつつあると言えるのかも知れません。ところが、それらの一般的なスーパーでの引き合いはほとんどありません。それは、一般家庭でロメインやエンダイブを食べることがないということなのです。

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