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編集長インタビュー

経営経験がある62歳の小僧として農業にかかわっていきたい

昆 そう考えると、IT業界には、本当にいろんな血、そして知が入ってきたようですから、この10年間、日本経済を牽引してきたのも、むべなるかなと思います。


ライブドアの再建という素晴らしい仕事に出会えた

昆 今にして思うと、ライブドア事件は新しい血が入ってきたことによる、一種のショック症状だったのかもしれません。あの渦中で、平松会長は会社再建のために請われる形で社長に就任されましたが、当時を振り返られていかがですか?

平松 よく「大変だったでしょう」と言われるんですが、人生のいたずらだったかもしれないけど、素晴らしい仕事に出会ったと思います。メディアに囲まれながら、会社の内側を直して、さらに外側を直さなければいけないという、言ってみれば日本のビジネス史上最高の困難と混乱に対して若い社員と一緒に立ち向かった。今までも企業の再生屋としていろんな会社にヘッドハントされてきましたが、全然違う、経験したことがない状況でした。

 ライブドアの売上は一時90%減にまで落ちましたが、在職期間中になんとか単月黒字が出せるまで回復ができました。20も30も年下の社員に支えられ、教わったこともたくさんありましたよ。当時、僕は60歳でしたが、あの2年間は僕が最も成長した時期と胸を張って言えますし、また幸運でした。

昆 当時の報道ぶりを考えると、引き受けない選択肢もあったはずですね。普通、人は世間の流れやメディアが何を言っているかにによって、価値判断を下しますが、平松会長の場合はそうではなかった。自分がこれだという信念を持ったから、突き進んでしまった。

平松 でも、これは今だから笑って言える話であって(笑)。前任者はいない、引継ぎもないし、書類も全部持っていかれている。会社の現状がわからない中ですから、いい経験をしているなんて思う気持ちはなかったですよ。当時はまず自分が倒れないようにしようと心がけていました。1日15時間も働き、タクシー移動中におにぎり片手に書類を読んでという日々を送っていましたから。

昆 いくら体力がおありとはいえ、年齢的にはキツいですよね。にもかかわらず、なぜ面白がってお続けになられた、その原動力は何ですか?

平松 今の会社の社名にもつながっていくんですが、「50歳、60歳はまだハナタレ小僧」だという持論なんです。もちろん、小僧とは比喩的な意味で、小僧のような気持ちでアクティブに人生の後半戦を楽しもうじゃないかというニュアンスが込められてるわけですが。それで、人生という後半戦は、勝敗は二の次、むしろゲームを思いっきり楽しむために一所懸命にやろうじゃないか、そう思っていただけなんですよね。

昆 やっぱり面白がって人生を生き抜くのが一番です。だけど農家は農業を「ダメだ、イヤだ」と愚痴をこぼしながら続けている人が本当に多い。それによる敗北主義が利権化してもいます。ただ、僕は、農家だけじゃなくてサラリーマンでもイヤならやめてしまえばいいと思うんですよ。その人にとって、一度きりの人生なんだから。

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