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特集

-売り手と買い手の「信頼」構築に向けて(1)- 農産物流通における「契約」を考えよう

本誌は生産規模や売上の大小ではなく、自己責任において自らの経営を創造していこうと考える“農業経営者”の雑誌であることをお断りしておく。そして、経営者という言葉を使う時、その経営が個人の農家か法人経営か、あるいは農協であるかどうかは問う必要もないことだと思っている。
 約10年前の創刊以来、本誌では特定の需要企業(村の小さな商店であっても良い)との「契約栽培」に自党的に取り組むことを農業経営安定化の手建てとすると同時に、それに取り組むことが農業を単なる暮らし方ではなく経営として成立させていくためのきっかけになると指摘してきた。多くの農家(特に野菜作経営の多く)が、一方で、その状況に不満を持っているものの、生産者自らの責任による営業交渉も販売努力もなく、ただの農協任せ、市場に持ちこめば値段がついてしまうことに疑問を持たず、その反面で乱高下する市場動向に一喜一憂する博打的な状況に農業経営を任せてしまう危うさの中にいると思われたからだ。しかし、その当時、多くの読者を含めて「契約栽培」という言葉に、「需要企業に農業・農民が支配される」という認識が強く、それへの批判や抵抗も少なくなかった。ところが、その後に価格が低迷する状況が生まれるようになると一転して「契約先を紹介してくれ」という声が本誌にも沢山寄せられるようになり、農業界の考え方の変化を本誌は感じてきた。

 しかし、(批判だけはするが)全てお任せのオンブにダッコの農協が契約先企業に変わっただけの「契約栽培」であるのなら、そこでの契約への観念は「他者との契約」の中で自らの経営を創造していく自由で主体的な経営者のそれではない。むしろ、単なる売り先探しではなく、信頼に足る顧客と出会い、その関係をいかに創造的なものにするかという継続的な努力こそ、農業経営者たちの求めるべき道だと本誌は考える。本誌が農通インフォマートを通じて読者と買い手企業の間の通訳の役割を果たそうとするのは、本誌自身と読者にとっての一つのチャレンジであると考えている。

 であればこそ、どれだけ技術が進化しようとも、農業がままにならない自然環境のもとに行われるという制約や、そのことへの買い手の無理解が存在することや、無法な買い手が存在することを承知の上でも、買い手とのより深い信頼関係を構築するためにこそ、相手を批判すると同時に我々の中に甘えがないかを自ら検証していく誇りを失いたくない。

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