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【買い手企業の信頼は トップの意志にある】
昆 それは生産サイドに限った話ではなく、食産業全休でそういったことがあるということですね。
奥村 そうですね。中に入っている業者として、そういったことでは続かないと思うのです。一昨年にあるところが、約束したことをまったく無視してしまった。私たちも一切そこには行かなくなった。ところが昨年、再び契約栽培の話を持ってきました。担当者は変わったが、これはノーですね。頑としてお断りしました。話をして、できるだけのことをしてあげようという思いもあったのですが、やはりダメだと判断しました。これは、量販なり外食の企業のトップの意志だと思うのです。バイヤーが変われば考え方が変わる、そういったあやふやな企業とはおつきあいできません。ローカルでも小さくてもよい。トップがこういったものを扱うんだというコンセプトをしっかりと持っているところでないと、長いお付き合いは難しいのだと思うのです。お互いの理念が合えば、担当者に対して「そうではないだろう」とこちらが教えますよ。もちろん、担当者としては日々の売り上げや調達計画というものが目の前にある。それは十分わかるのです。しかし点だけを見ているとわからないものがあるのです。線や面を見ないと達成できないこと、それが重要なのです。
その点では時間のかかっている部分もあるでしょう。しかし、一度組めばおつきあいは長いですね。あるスーパーとのお取り引きの中で、去年は沖縄県宮古島のカボチャを70t扱っていたのが、今年は250t、3倍強になりました。19名という生産者の数で突然3倍に面積を増やすなどとてもできないことです。他の島の生産者の会合に出て、ゼロから積み上げていかなければならなくなりました。その時まず、土の話から始まる。それを理解していただけるまでやって、ある程度に達したなというところで初めて作ってくれないかという話をしたのです。
カボチャを例にとりましたが、そういう場面で買い手と作り手の間にいる私たちにとって最も重要となるのは、お互いの信頼関係をまず構築していくことなのです。私たちが生産者の方々のことで心配するのは、このスーパーではこのカボチャのLとMしかいらない、では、SやLLをどうしようかということです。では、LLはカッ卜野菜の原料や業務用の食品メーカーに、万一こうなったら入れてくれと。その代わり価格はこのくらいに落とせるよと。Sは、ディスカウントのある量販店で理解していただいているところがありますので、そういうところにお願いする。私たちは全量を引き受けることが原則です。であるからこそ、営農指導をどうしていくかが重要となるのです。
私たちも土のことを言い、土壌分析をずっとやってきましたが、そこで出てきたよい形のレーダーチャートが、本当に美味しいダイコンやニンジンになったのかということを評価する必要がでてきました。そこで品質評価という段階に3年前から入った。品質評価では成分分析と官能評価を行っています。官能評価はテストに受かった人たちだけを使っています。結果として、レーダーチャートと品質評価、それが一致しているんですね。理想的な土壌の圃場では美味しい、栄養価の高い野菜ができるのです。今度、売り先に対してもこの結果を公表しようと考えています。それをどう消費者・生活者が語り、理解するかが大事なことであり、こういうことに対して、生活者から声が上がるべきであると思っています。それをいろいろな角度から訴えていこうと。
昆 大きな買い手さんにとっての便利屋さんに徹してしまう中間業者が多いのが現状です。しかし、こういう厳しい状況になればなるほど、原則論が重要になってくるということですね。
奥村 その通りです。
昆 そうでないと農業経営者も育たないし、農業経営者たちとの語り合える土壌もできない。ただ安いからと自分たちの中に原則がない形で、そういったことをやり続けると結局、買い手の業界は自分で自分の首を絞めることになっていくのではないでしょうか。
奥村 まさにそのことが分かりやすい形で現れているのが、このレーダーチャートです。くっきりと違いが現れてきますから。スーパーのバイヤーさんに、現在販売している小松菜とうちの小松菜で分析比較して見ていただく、食べていただく。違いは一目瞭然です。それを広く伝えていきたいと考えています。
昆 有り難うございました。
■奥村晃さん
株式会社セイツー 代表取締役
1946年生まれ。石川県経済連で産直事業に関わり、青壮年部事務局等を務める。1982年に野菜専門の卸売会社「セイツー」を立ち上げる。現在、全国700戸の生産者と契約を結び、47種類の野菜を量販店、外食産業などに卸す。全国を9つのエリアに分け、産地の拠点作りを行っている。
昆 それは生産サイドに限った話ではなく、食産業全休でそういったことがあるということですね。
奥村 そうですね。中に入っている業者として、そういったことでは続かないと思うのです。一昨年にあるところが、約束したことをまったく無視してしまった。私たちも一切そこには行かなくなった。ところが昨年、再び契約栽培の話を持ってきました。担当者は変わったが、これはノーですね。頑としてお断りしました。話をして、できるだけのことをしてあげようという思いもあったのですが、やはりダメだと判断しました。これは、量販なり外食の企業のトップの意志だと思うのです。バイヤーが変われば考え方が変わる、そういったあやふやな企業とはおつきあいできません。ローカルでも小さくてもよい。トップがこういったものを扱うんだというコンセプトをしっかりと持っているところでないと、長いお付き合いは難しいのだと思うのです。お互いの理念が合えば、担当者に対して「そうではないだろう」とこちらが教えますよ。もちろん、担当者としては日々の売り上げや調達計画というものが目の前にある。それは十分わかるのです。しかし点だけを見ているとわからないものがあるのです。線や面を見ないと達成できないこと、それが重要なのです。
その点では時間のかかっている部分もあるでしょう。しかし、一度組めばおつきあいは長いですね。あるスーパーとのお取り引きの中で、去年は沖縄県宮古島のカボチャを70t扱っていたのが、今年は250t、3倍強になりました。19名という生産者の数で突然3倍に面積を増やすなどとてもできないことです。他の島の生産者の会合に出て、ゼロから積み上げていかなければならなくなりました。その時まず、土の話から始まる。それを理解していただけるまでやって、ある程度に達したなというところで初めて作ってくれないかという話をしたのです。
カボチャを例にとりましたが、そういう場面で買い手と作り手の間にいる私たちにとって最も重要となるのは、お互いの信頼関係をまず構築していくことなのです。私たちが生産者の方々のことで心配するのは、このスーパーではこのカボチャのLとMしかいらない、では、SやLLをどうしようかということです。では、LLはカッ卜野菜の原料や業務用の食品メーカーに、万一こうなったら入れてくれと。その代わり価格はこのくらいに落とせるよと。Sは、ディスカウントのある量販店で理解していただいているところがありますので、そういうところにお願いする。私たちは全量を引き受けることが原則です。であるからこそ、営農指導をどうしていくかが重要となるのです。
私たちも土のことを言い、土壌分析をずっとやってきましたが、そこで出てきたよい形のレーダーチャートが、本当に美味しいダイコンやニンジンになったのかということを評価する必要がでてきました。そこで品質評価という段階に3年前から入った。品質評価では成分分析と官能評価を行っています。官能評価はテストに受かった人たちだけを使っています。結果として、レーダーチャートと品質評価、それが一致しているんですね。理想的な土壌の圃場では美味しい、栄養価の高い野菜ができるのです。今度、売り先に対してもこの結果を公表しようと考えています。それをどう消費者・生活者が語り、理解するかが大事なことであり、こういうことに対して、生活者から声が上がるべきであると思っています。それをいろいろな角度から訴えていこうと。
昆 大きな買い手さんにとっての便利屋さんに徹してしまう中間業者が多いのが現状です。しかし、こういう厳しい状況になればなるほど、原則論が重要になってくるということですね。
奥村 その通りです。
昆 そうでないと農業経営者も育たないし、農業経営者たちとの語り合える土壌もできない。ただ安いからと自分たちの中に原則がない形で、そういったことをやり続けると結局、買い手の業界は自分で自分の首を絞めることになっていくのではないでしょうか。
奥村 まさにそのことが分かりやすい形で現れているのが、このレーダーチャートです。くっきりと違いが現れてきますから。スーパーのバイヤーさんに、現在販売している小松菜とうちの小松菜で分析比較して見ていただく、食べていただく。違いは一目瞭然です。それを広く伝えていきたいと考えています。
昆 有り難うございました。
■奥村晃さん
株式会社セイツー 代表取締役
1946年生まれ。石川県経済連で産直事業に関わり、青壮年部事務局等を務める。1982年に野菜専門の卸売会社「セイツー」を立ち上げる。現在、全国700戸の生産者と契約を結び、47種類の野菜を量販店、外食産業などに卸す。全国を9つのエリアに分け、産地の拠点作りを行っている。
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