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【シリーズ TPP特集 】
国際法の専門家が語る、ISDS条項の実態~(7)「米国陰謀説の嘘」 京都大学大学院法学研究科 濵本正太郎教授
- 濵本正太郎
- 2013年06月04日

日米による事前協議の合意で日本のTPP交渉への参加が事実上決定した中、国内の調整に当たって最大の懸案事項となっている一つにISDS条項がある。いわゆる巷間で噂される「毒素条項」。国民の安全を守ってきた各種の規制が、外国企業の訴えによって緩和や撤廃させられる可能性があるというのだ。果たして実態はどうなのか? 国際的な投資の協定やその仲裁の事案に詳しい国際法の第一人者に話を聞いた。(取材・まとめ・窪田新之助)
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日本は今まで投資協定やISDS条項を認めてきた
――中国の暴動は分かりやすい。ただ、日本ではISDS条項の必要性が十分に理解されているんでしょうか?
ある程度は理解されていると思います。そもそもTPPの話が持ち上がる前は、ISDS条項が危険だってことは誰も議論していなかったわけですよ。日本は投資協定含め30も結んでいるのに、誰も何も言わなかった
――確かにそうですね。
日本は今までの条約では投資協定やISDS条項を認めてきたわけです。だから、おそらく日本の投資家が海外に出て行く際に必要だということには一定の理解がある。ただ、TPPは日本が訴えられる可能性があるから駄目だと、相手が米国なので。それでけしからんといっているでしょう。他人を訴えるのはいいが、人から訴えられるのは罷りならんというんでしょうね。
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濵本正太郎 ハマモトショウタロウ
1970年、福岡県糟屋郡古賀町(現・古賀市)生まれ。1988年、京都大学法学部入学。95年、同大学大学院法学研究科で修士(法学)取得。1998年から2000年まで同大大学院法学研究科助手、06年まで神戸大学大学院法学研究科助教授、09年から現職。この間、パリ第一大学招聘教授(国際投資法)、欧州評議会アンチ・ドーピング条約モニタリンググループ法律問題諮問委員会専門家委員のほか、国連国際商取引法委員会第二作業部会や経済開発協力機構 投資委員会などで日本政府代表を務める。
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