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【シリーズ TPP特集 】
国際法の専門家が語る、ISDS条項の実態~(8)「体制の整備」 京都大学大学院法学研究科 濵本正太郎教授
- 濵本正太郎
- 2013年06月11日
日米による事前協議の合意で日本のTPP交渉への参加が事実上決定した中、国内の調整に当たって最大の懸案事項となっている一つにISDS条項がある。いわゆる巷間で噂される「毒素条項」。国民の安全を守ってきた各種の規制が、外国企業の訴えによって緩和や撤廃させられる可能性があるというのだ。果たして実態はどうなのか? 国際的な投資の協定やその仲裁の事案に詳しい国際法の第一人者に話を聞いた。(取材・まとめ・窪田新之助)
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EUの経験から、最初から入っておいた方が良い
――日本はいよいよTPP交渉に参加するということで、ほかの交渉分野含め、ISDS条項にしても自国の主張をきちんと通すべきだと思われます。ただ、それでも妥結後に不利と分かった時なんか、条項の内容を変更はできるのですか?
もちろん他国が合意すればできますけど、現実的ではない。むしろ、もし日本が意見を反映させたいのであれば、やはり一刻も早く交渉に参加すべきです。これはEUについてよく言われていて、最初、EUは6カ国から始まりましたよね。で、後から入った国は不利だったと。最初の6カ国で体制はがっちりとできてしまっていて、後から入った国はそれを丸呑みしなきゃいけない。どうせなら、最初から入っておいた方が良いということが、EUの経験から言えると思います。
――形作られてしまってからでは、主張が通りにくいということですか。
そうですね。北欧の人はよくこんな風に言う。「EUの制度を理解するには、天才かフランス人じゃないと駄目だ」と。要するにフランスが最初にEUの仕組みを作ったわけですから。
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濵本正太郎 ハマモトショウタロウ
1970年、福岡県糟屋郡古賀町(現・古賀市)生まれ。1988年、京都大学法学部入学。95年、同大学大学院法学研究科で修士(法学)取得。1998年から2000年まで同大大学院法学研究科助手、06年まで神戸大学大学院法学研究科助教授、09年から現職。この間、パリ第一大学招聘教授(国際投資法)、欧州評議会アンチ・ドーピング条約モニタリンググループ法律問題諮問委員会専門家委員のほか、国連国際商取引法委員会第二作業部会や経済開発協力機構 投資委員会などで日本政府代表を務める。
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