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作物別経営研究

サツマイモ ~良質・多収のためのサツマイモ作りとは?~

採苗後1~2日の苗を上手く挿苗して、葉を枯らさずに活着させると節から2本の肥大根が発生、そのままイモになる。4節埋めれば8個のイモが付く。このイモは挿苗後2ヶ月で50g、3ヶ月で100gとなる。4ヶ月では株当たり1.5kgを越えて10a当たりでは4tを越える。北海道のような寒冷地でもマルチ畦で6月上旬に挿苗すれば、10月上旬には3tは確実に収穫できる。
【サツマイモの収量は挿苗直後に決まる】

 採苗後1~2日の苗を上手く挿苗して、葉を枯らさずに活着させると節から2本の肥大根が発生、そのままイモになる。4節埋めれば8個のイモが付く。このイモは挿苗後2ヶ月で50g、3ヶ月で100gとなる。4ヶ月では株当たり1.5kgを越えて10a当たりでは4tを越える。北海道のような寒冷地でもマルチ畦で6月上旬に挿苗すれば、10月上旬には3tは確実に収穫できる。

 ところが一般のサツマイモ栽培では、苗に付いている葉の大半を枯らしてしまっている畑が多い。葉が枯れるとその節から出た肥大根は吸収根になってしまい、イモになるのは先端近くの生きている葉の節の根だけで、それもかなり遅れる傾向がある。各節にきちんとイモの付いた株はほとんど見られず、株当たりのイモ数が2、3個だと500g前後の大イモになり、奇形や丸イモが多く、食用としては規格外になってしまう。鹿児島あたりの焼酎やでんぶん原料であれば、それでも5ヶ月で4tにはなるので気にしない生産者が多いが、関東の食用サツマイモでは製品歩留まりが悪く、市場評価も下がり、採算割れで栽培を止める生産者が少なくない。

 苗の葉を枯らさずに活着させるには、適正な土壌水分で曇天時に植えるのが一番である。降雨時や降雨直後は水分過多、晴天時の午前中は葉の萎れが酷くてダメ、やむを得ず晴天時に植えるときは午後遅めに、或いは遮光対策(徳島、香川の産地では藁や不織布をかけている)をする。4、5日で葉の萎れが無くなり、生育(肥大根も)が始まる。挿苗1ヶ月後に苗の葉が生存していて大きくなっていれば、多収は間違いない。

「満月に植えたサツマイモは丸く、三日月に植えたサツマイモは長くなる」。ペルーの太平洋岸の砂漠の村で聞かされた言い伝えである。同行したヨーロッパの研究員は迷信と笑っていたが、これは経験則による事実である。潮位の高低で土壌水分が異なり、満月に植えた苗は潮位の下がる1週間後、土壌水分が低くなって肥大根が太り始める。三日月に植えた苗は土壌水分が高くなる頃肥大根が出るが、酸欠で肥大が遅れるのが原因と考えている。潮位と作物の生育は鹿児島の海岸部でも「潮が悪いから成り物が成らない」との言い伝えがあった。ペルーの先住民の言葉を換えれば「雨降りに植えたサツマイモは長くなり、晴天に植えたサツマイモは丸くなる」であろう。実証データは取っていないが。


【育苗・定植のポイント】

 苗は節間の詰まった短めの苗を植える。植え方は斜め挿し、土壌水分で角度を変える。

 発根が早く、肥大根(イモになる根)になりやすいのは頂葉(展開葉)から数えて3~5節目である。これ以下の節は吸収根になりやすく、葉も枯れやすい。植える苗は数節で十分、長さが20cm以下の節間の詰まった苗がよい。このような苗は種子イモを疎植にして肥料、とくに窒素を少な目に、灌水もほどほどにすればできる。一般には採苗数を増やすために窒素追肥と灌水を多めにしているが、良質・多収狙いでは苗床面積を増やしてでも良い苗を作るべきである。

 植え方は斜め挿しが効率が良く、活着も良い。土が乾き気味の時は45度、湿度が十分あるときは30度以下の浅植えにする。浅いほど地温が高く、空気(酸素)が多いので発根が早い。この土壌水分は作条・マルチ掛けを何時するかでほぼ決まる。降雨後の湿った時はダメで、やや乾き気味が良い。

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