記事閲覧
サツマイモの市場相場を見る
入荷が減っても人気は維持? 品質表示や用途提案で信頼を (小林彰一)
【概況】東京市場のサツマイモは、50年代の年間4~5万tの入荷が近年では3万5千t前後に減ってきた。とりわけ7~8月の夏場の減り方が激しい。産地としては、千葉、茨城の2県で全体の8割以上を占めるという構成は変わらないが、かつてより徳島産が東京出荷を増大させており、8%のシェアを占めるまでになっている。キロ単価は千葉、茨城産についてはかつてより弱含みであるが、単価が3倍近い徳島産が増えたことで東京市場のサツマイモの平均キロ単価は確実に上がっている。
【背景】産地が固定され、しかも寡占状態になりつつあるというのは、全体の需要が低迷していることを意味する。ようするに近年はサツマイモの人気が減退気味ということである。ただし、徳島の金時が地位を上げている。これは、金時が人気であり関東のベニアズマや高系の人気が落ちてきたという図式なのだろうか。それを知るためには、需要構造を考えてみる必要がある。金時はその品質が安定していること、仕上がりがきれいなことという点では、その単価に恥じない。これらは業務用に強い需要層がある。一方、単価の安いベニアズマや高系における一般消費部分は減退しているということだ。惣菜や中食でのサツマイモ人気の一方で、家庭で“ふかし芋”はやらなくなっている、ともいえる。
【今後の対応】サツマイモの敵は。これだけ豊富に出回っているお菓子類だ、とはよくいわれること。また、茨城県あたりでは例の放射能漏れ事故も大きく響いた、やれ中国産の輸入も問題だ、と“犯人探し”に口論乙駁の状態である。しかし、サツマイモそのものの需要が落ちているのだろうか。惣菜では、サツマイモの天ぷらや大学芋などは人気商品である。また、サツマイモのアイスクリームも売れ筋のひとつだ。サツマイモの本場である鹿児島県などは、さまざまな品種が一般消費を潤している。それでも、小売店での一般消費者の購買が進まないのは、内容表示や品質保証があいまいだからだろう。サツマイモには、大きく分けてホクホクする粉質系のものとねっとりした粘質のものがある。大まかには関東はホクホクする粉質のものが好まれる、といわれているが、消費者の嗜好はそれほど一定ではない。消費者の嗜好とサツマイモの性質が違えば「おいしくない」ことになる。それを、適正な表示や利用法を提示することで、好みや用途にぴったりのサツマイモが買えるのなら、一般消費者の主役の主婦がサツマイモを敬遠する訳はない。やはり女性の好みの主流は「いも・くり・なんきん」なのである。栗は“剥き”商品がヒットしているし、カボチャは一貫して成長品目だ。サツマイモにもチャンスを与えるべきである。
会員の方はここからログイン
編集部
作物別経営研究
ランキング
WHAT'S NEW
- 夏期休業期間のお知らせ
- (2021/08/10)
- 年末年始休業のお知らせ
- (2020/12/17)
- 夏期休業期間のお知らせ
- (2020/08/07)
- 年末年始休業のお知らせ
- (2019/12/12)
- 年末年始休業のお知らせ
- (2018/12/25)
