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【シリーズ TPP特集 】
米韓FTAを通してみるTPPの誤解(1)「反対の動機」 大東文化大学 経済学部社会経済学科 高安雄一教授
- 大東文化大学 経済学部社会経済学科教授 高安雄一
- 2013年06月19日
2012年3月に発効した米韓FTA。直前にその是非を巡って巻き起こった韓国での反対の論調は、日本でもTPP交渉への参加を退ける材料としてそのまま使われてきた。大東文化大学経済学部の高安雄一教授は、この点にTPP反対派の危うさをみる。日本における韓国経済の第一人者に、7月に見込まれる交渉参加に当って隣の国から学ぶべきことを聞いた。(取材・まとめ/窪田新之助)
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おおもとは反米感情か
――2010年10月に民主党の菅首相(当時)がTPP交渉への参加を表明してから、反対派の間では「韓国の二の舞になるな」が合言葉のようになってきましたね。
あの時を境に、急に米韓FTAが注目されるようになりました。それまでは誰も話題にしなかったんですけどね。
――米韓FTAを巡って、韓国での反対論はどういう風に起きたんですか?
あれはもともと、ネット上で始まったことなんですよ。米韓FTAの条文一つ一つを読むと、韓国にとってあまりに不利な内容になっている、と。たとえば米国で狂牛病(BSE)が発生しても、輸入禁止措置を取れないだとか。あるいは、米国から賭博やアダルトサービスが入ってきても、それを規制する手段を講じられないだとか。いずれも事実ではないんですが、そういった色々な情報がネットで飛び交うようになったんです。それで、農業界では農民が「全国農民連帯」「全国農民会総連盟」というような反対組織をつくっていった。
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高安雄一 タカヤスユウイチ
大東文化大学
経済学部社会経済学科教授
1966年生まれ。90年に一橋大学商学部を卒業後、経済企画庁入庁。99年に外務省在韓国大使館二等書記官、2000年に同一等書記官などを経て、10年から大東文化大学経済学部准教授、13年教授。著書に『TPPの正しい議論にかかせない 米韓FTAの真実』のほか、『韓国の構造改革』『隣りの国の真実 韓国・北朝鮮篇』がある。韓国農業に関する論文も多数。
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