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【シリーズ TPP特集】
米韓FTAを通してみるTPPの誤解(3)「毒素条項の嘘」 大東文化大学 経済学部社会経済学科 高安雄一教授
- 大東文化大学 経済学部社会経済学科教授 高安雄一
- 2013年07月03日
2012年3月に発効した米韓FTA。直前にその是非を巡って巻き起こった韓国での反対の論調は、日本でもTPP交渉への参加を退ける材料としてそのまま使われてきた。大東文化大学経済学部の高安雄一教授は、この点にTPP反対派の危うさをみる。日本における韓国経済の第一人者に、7月に見込まれる交渉参加に当って隣の国から学ぶべきことを聞いた。(取材・まとめ/窪田新之助)
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農産品は条項の対象外
――日本がTPPに参加すれば、毒素的なラチェット条項※1によって、米国でBSEが発生しても輸入禁止措置を取れないと噂されています。あれも韓国から来たんですか?
そうでしょう。韓国でも米韓FTAを批准する前には同じような主張がなされましたから。でも、条文をきちんと読めば、実際にはそんなことがありえないことは一目瞭然なんです。
――というのは?
そもそもこの条項ですが、米韓FTAの条文の「投資」と「国境間のサービス貿易」「金融サービス」の3つの章でしか規定されていないんです。農産品には一切適用されない。だから輸入を禁止できないなんてありえないんです。輸入禁止措置を取ったとして、もし米国と問題が生じれば、二国間協議からWTOの紛争手続きを経て解決するだけのことですよ。
※1
一度進めた市場開放や規制緩和について、いかなる事情があっても逆行することが許されない規定のこと。
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高安雄一 タカヤスユウイチ
大東文化大学
経済学部社会経済学科教授
1966年生まれ。90年に一橋大学商学部を卒業後、経済企画庁入庁。99年に外務省在韓国大使館二等書記官、2000年に同一等書記官などを経て、10年から大東文化大学経済学部准教授、13年教授。著書に『TPPの正しい議論にかかせない 米韓FTAの真実』のほか、『韓国の構造改革』『隣りの国の真実 韓国・北朝鮮篇』がある。韓国農業に関する論文も多数。
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