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特集

市場の新野菜2

食のあり方の変化と共に求められる食材も変化していく。トマトにしろレタスにしろ、サラダという“野菜を生で食べる”食のあり方が一般に浸透するまでは、日陰の存在であった。最初はどんな野菜も“新野菜”としてスタートする。海外旅行が一般的なものとなり、人々が海外の食事に直に触れるようになった。その結果様々な国の料理が、高級料理店だけでなく、一般的な価格の料理店でも食されるようになってきた。それに伴って、野菜需要が全般的に伸び悩みを見せている近年にあっても、新野菜の需要は外食を中心に伸びつつある。現在、その多くは海外産であるが、国内産への要望が高まっている。そこで本誌では、これから有望な新野菜やその種苗情報を中心に9月号で特集「市場の新野菜」を組んだ。本誌に触発されエゴマのハウス生産を始める意向を伝えてこられた経営者もいる。本号特集では更に“新野菜”に踏み込み、新野菜の生産で経営を確立している農業経営者の方々、新野菜を仲買し、料理に取り入れる需要者の方々のケーススタディを掲載することで、新野菜経営のあり方や需要者のニーズについて探っていく。また、「有望な新野菜」で前回掲載できなかったを分も追加紹介するので参考とされたい。
ケーススタディ:新野菜の農業生産者たち


 新野菜を経営の柱に組み込む。そこには農業経営の原点がある。栽培方法から販売まで、全てを独力で切り開いていく。食べる人の嗜好を調理人たちと吟味し、生産にフィードバックしていく。農業経営者たちがどのように新野菜にとり組み、顧客の信用を得るためにどのような工夫・努力をしているのかルポする。

Case1 人の真似では売れない

■鈴木孝義さん
有限会社 ヤママツ鈴木農園 
プロフィール:昭和13年9月生まれ。浜松西農協にて営農指導部長を務めた後、平成2年独立。主にハーブなどの新野菜の無農薬栽培に取り組む。平成10年、有限会社ヤママツ鈴木農園を設立。ハウス面積1.2ha(建坪)。取引先は全国の個人レストラン、外食チェーンなど。

 ――ルッコラ、ローズマリー、タイムは知っている。近頃若い主婦にも人気のハーブ類だ。しかし、セルバーチコ、オニオンブラウン、根パセリとなると、もう「?」である。こんなハーブや西洋野菜はどこで食べられるの?と思うが、ちゃんと需要はある。フレンチやイタリアンといった今話題のレストランで、本物の味を再現させる名脇役の野菜たちなのである。

 有限会社ヤママツ鈴木農園(浜松市)の鈴木孝義さんは、30年前、まだこうした野菜が日本で手に入らなかった時代から、直接シェフたちの要望を聞き、ハーブや西洋野菜の栽培に取り組んできた。農協を辞めて8年前に独立してからは、とくに無農薬にこだわったハーブや野菜を専門に生産、販売している。その種類はざっと20品目あまり。

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