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シリーズ TPP特集

米韓FTAを通してみるTPPの誤解(6)「農業の構造改革」 大東文化大学 経済学部社会経済学科 高安雄一教授

  • 大東文化大学 経済学部社会経済学科教授 高安雄一
  • 2013年07月24日
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2012年3月に発効した米韓FTA。直前にその是非を巡って巻き起こった韓国での反対の論調は、日本でもTPP交渉への参加を退ける材料としてそのまま使われてきた。大東文化大学経済学部の高安雄一教授は、この点にTPP反対派の危うさをみる。日本における韓国経済の第一人者に、7月に見込まれる交渉参加に当って隣の国から学ぶべきことを聞いた。(取材・まとめ/窪田新之助)
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直接支払いで影響を緩和

――FTAを国是にしているという 韓国ですが、農業分野では具体的にどんな対策をしているんですか?

2004年3月に「自由貿易協定締結にともなう農漁民などの支援に関する特別法」を制定しています。FTAで被害を受けることが想定される農業や漁業を支援する根拠を示すのと同時に、支障なく特別基金を創設することを目的としたものです。

――どんな内容なんです?

政府が農業分野で果たす役割としてうたっているのは、農民の被害を最小化するために、構造改善や経営安定できる措置を講じるだとか。あるいは輸入量が急増して価格が下がった品目については、直接支払いで補てんするだとか。また廃業支援もあります。

――直接支払いというのは、どんな内容なんですか?

これは2つあります。一つはコメですが、米韓FTAではコメが除外されているので関係ありません。もう一つは全ての品目について、基準価格とFTAの影響で下がった市価との差額の一定割合を補てんするものです。ただ、補てんされるには一定以上価格が下がったと指定されることが必要です。補てん率は2004年時点では80%でしたが、1次改正で85%、2次改正で90%と上げてきました。これに年間300億ウォン(2011年実績)の予算を組んでいますが、過去に発動されたことはありません。

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