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特集

―枝豆(だだちゃ豆)の収穫体系を通して考える―“最高”より“最適”を選べ!


 だだちゃ豆を他の地方で栽培しても、その味と風味を出すことができないとよく言われる。木村充さんが新潟の人にだだちゃ豆の種をあげたところ、その年の収穫物は非常においしいと喜ばれたが、種を取って翌年植えたものは全然おいしくなかったと聞いており、その地に根ざした品種であるといった実感を持ったそうだ。

 枝豆は概して、昼夜の気温差が大きく湿度のある気候を好む。また、低温には割と強いが高温に弱い。そういったことからも、東北・北海道で良質の枝豆が多く生産されると言われている。だが、日本海側東北地方には太平洋高気圧が幾重にも山を越え下ってくるためフェーン現象が発生し、夏は非常に暑い。山形県庄内地方の酒田測候所では、観測史上日本最高気温を記録しているくらいだ。だだちゃ豆は、その気候や風土に合わせて長い時間をかけて培われたきたものであることは確かのようだ。

 だだちゃ豆といってもその品種は非常に多い。代々それぞれの農家が種取りをし、自分たちの土地柄や栽培体系にあった品種を時期をずらしながら栽培している。本来その味や品質は、どこの何というだだちゃ(お父さん)がいつ作った豆なのかということに依拠するほど土地柄・栽培技術・人柄といったことを選ぶ作物である。

 現在「だだちゃ豆」という名称は商標登録がされ、その独占使用権を鶴岡市のだだちゃ豆生産者連絡評議会が持っている。正確には同じ庄内でも鶴岡市以外で生産されている茶豆をだだちゃ豆とは呼べないのだが、一般的には庄内で生産されている茶豆を「だだちゃ豆」と呼んでいることや、鶴岡市内外で名称を使い分けることの不便さからここでは「だだちゃ豆」として統一して呼ぶこととする。

 枝豆の収穫適期は一般に開花後30~40日のうちの数日間と言われている。この時期、糖類(主にショ糖)やアミノ酸の中でもグルタミン酸やアラニンの含量が最も高まる。午前中に葉で光合成によって作られた糖やアミノ酸は、午後に実の部分に転流し、夜から朝にかけて消耗される。圃場でそのまま食べるのであれば、最も美味しいのは夕方という官能試験の結果が発表されている。ただし出荷を念頭においた場合、呼吸による糖の消耗は温度が高いほど進むので、莢の温度が最も低くなる早朝に収穫した方がよいという側面もある。食味という点で枝豆にとって鮮度保持は重要な要素だ。低温流通の手段が発達していない一昔前は、枝豆の流通においては枝付きが多く見られた。それは、掘取った枝豆を葉だけ取って、根と枝と莢がついた状態で出荷することで、少しでも鮮度が維持された状態で消費者に届けることができたからだ。

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