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【江刺の稲】
大和の人であることを知った神宮参拝の感激
- 『農業経営者』編集長 農業技術通信社 代表取締役社長 昆吉則
- 第71回 2002年01月01日
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生まれて初めて伊勢神社にお参りをした。いわゆる伊勢神宮は内宮(ないぐう)とも言われる皇大神宮(こうだいじんぐう)、外宮(げぐう)と呼ばれる豊受大神宮(とようけだいじんぐう)の二つの総称であり、さらにそれぞれにある合計125の別宮、摂社、末社、所管社を総称するものである、とは解説書で読んだ。
ある団体が同所で開催した講演会に筆者を呼んでくださったお陰で、参加者の方々とともに12月15日の深夜、外宮で執り行われた月次祭(つきなみさい)のお祭りを拝見させて頂く幸運を得た。月次祭は6月15日と12月15日、ともに夜(午後10時)と暁(午前2時)の二回、天照大神に御食(みけ)をたてまつるお祭りであり、10月に行われる神嘗祭(かんなめさい)を合わせて三節祭と言い、伊勢神宮のお祭りの根幹をなすもの。そして、ここでは1500年以上もの長きにわたって、毎日、朝夕二度、天照大神に御食を供えるお祭りが続けられているのである。
正殿で行われるお祭りを直接拝見できるわけではない。正殿を囲む三重に巡らされた板垣の外までが我々の入れる場所である。それでも、松明をかがし隊列をなす神官たちが静寂の神宮の森に響かせる規則正しい砂利を踏む音。太古の森が残る神宮の闇に、松明と星明りに照らし出される神官の隊列と参列する我々の姿。満天の星と静謐な空気、それ自身に神聖さを感じさせる杜の中で風の間をぬって聞こえ及ぶ雅かな楽の音。僕はそこである種の感激を味わっていた。下世話なことを言えば、一ケ月近くも体調不良の原因になっていた風邪がその夜以来、ピッタリと治った。
ある団体が同所で開催した講演会に筆者を呼んでくださったお陰で、参加者の方々とともに12月15日の深夜、外宮で執り行われた月次祭(つきなみさい)のお祭りを拝見させて頂く幸運を得た。月次祭は6月15日と12月15日、ともに夜(午後10時)と暁(午前2時)の二回、天照大神に御食(みけ)をたてまつるお祭りであり、10月に行われる神嘗祭(かんなめさい)を合わせて三節祭と言い、伊勢神宮のお祭りの根幹をなすもの。そして、ここでは1500年以上もの長きにわたって、毎日、朝夕二度、天照大神に御食を供えるお祭りが続けられているのである。
正殿で行われるお祭りを直接拝見できるわけではない。正殿を囲む三重に巡らされた板垣の外までが我々の入れる場所である。それでも、松明をかがし隊列をなす神官たちが静寂の神宮の森に響かせる規則正しい砂利を踏む音。太古の森が残る神宮の闇に、松明と星明りに照らし出される神官の隊列と参列する我々の姿。満天の星と静謐な空気、それ自身に神聖さを感じさせる杜の中で風の間をぬって聞こえ及ぶ雅かな楽の音。僕はそこである種の感激を味わっていた。下世話なことを言えば、一ケ月近くも体調不良の原因になっていた風邪がその夜以来、ピッタリと治った。
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昆吉則 コンキチノリ
『農業経営者』編集長
農業技術通信社 代表取締役社長
1949年神奈川県生まれ。1984年農業全般をテーマとする編集プロダクション「農業技術通信社」を創業。1993年『農業経営者』創刊。「農業は食べる人のためにある」という理念のもと、農産物のエンドユーザー=消費者のためになる農業技術・商品・経営の情報を発信している。2006年より内閣府規制改革会議農業専門委員。
江刺の稲
「江刺の稲」とは、用排水路に手刺しされ、そのまま育った稲。全く管理されていないこの稲が、手をかけて育てた畦の内側の稲より立派な成長を見せている。「江刺の稲」の存在は、我々に何を教えるのか。土と自然の不思議から農業と経営の可能性を考えたい。
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