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特集

メニューから考える農産物マーケティング(2) 惣菜篇・包丁とまな板のない「食生活」が農業に求めるもの

【惣菜がリードしてきたもの】

 今年の年末年始には、それまでの年と違った消費行動がみられた。年末には高級おせち料理に注目が集まり、高級料理店の5万~10万円という価格帯のものが飛ぶように売れた。2日の初売りには、デパートに人が押し寄せ、押すな押すなの盛況であった。地下の食品売場では、惣菜売場に人がひしめいていた。

 高級おせちの人気の理由は、あの、米同時多発テロの影響もあったであろう。海外旅行を取りやめ、久しぶりに家族でゆっくりお正月をすごそうと決め込んだ人々は、それでもハレをどう演出するかと考え、高級おせちに白羽の矢を立てたのだろう。

 それよりも重要なのは、すでにおせち料理を作る技術がなくなってしまったことである。地方の、大家族制が色濃い生活をしている人々は別として、都会生活者、あるいは核家族にとってはおせちを作らなくなって久しい。すでに、おせちは作る物でなく、買うものとなっている。

 おせちどころか、毎日の食事に調理済み食品を利用する人々が増えている。サランラップ「おいしさ保存研究所」の調査によると、朝昼晩の3食平均で1割が市販惣菜を利用している(表1)。また、日本生活協同組合連合会の調査によると、週に1回以上市販惣菜を利用する人は3割、月に2~3回以上利用する人は7割にのぼる(表2)。

 一方、首都圏の女性を対象に行った日本惣菜協会の調査では、さらに惣菜利用が多いようにみえる。例えば、調理パンを週に1回以上買った人は5割近く、コロッケは4割、弁当は3割を越えている。

 お惣菜を購入する理由は、「帰宅が遅くなって調理の時間がない時」が3割を占めるが、それよりも「普段のおかずとして」が5.5割にのぼっていることが注目される(表3)。お惣菜利用が日常生活に深く浸透していることを物語っているといえよう。

 ちなみに、帰宅が遅くなった時には弁当など主食的なものが上位を占め、普段のおかずとしてはうなぎの蒲焼きやコロッケが上位を占めている。

 お惣菜に対する評価は、ほとんどの人が「種類が豊富になっている」ことを認め、7割の人は「美味しくなっている」と思い、半分以上の人は「鮮度が良くなっている」と考えている。

 また、経済性に対する評価も惣菜の利用率を高めている。「自宅で作るより買った惣菜のほうが経済的」と思う人は2割強、そして、60代、30代でそう思う人の割合が平均より高い(表4)。30代が経済的だと思う理由は、家族の好みに合わせて複数のおかずを用意しているからではないだろうか。子育て期の家族の個食化が進んでいる様子を物語っているように思える。60代が経済的だと思う理由は、家族数が減少し食べる量も減ったからである。例えば、野菜の煮物を作るとなると、何種類もの野菜を買い揃えなければならないから材料費がかかるし、たくさん出来てしまっても毎日同じものを食べる気はしない。

 それにしても、有職主婦より専業主婦のほうが「経済的だ」と考える比率が高いのはどうしたことであろうか。きっと、惣菜を積極的に取り入れるための理由を探しているのではないかと思われる。

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