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特集

メニューから考える農産物マーケティング(2) 惣菜篇・包丁とまな板のない「食生活」が農業に求めるもの

 そんな名声店の料理の味を家庭で味わってもらおうと出店しているのが、柏そごうデパートの地下食品売場にある惣菜のコーナーである。設けて既に34年の長きになるが、その人気は一向に留まることがない。同惣菜コーナーは、食品売場のほぼ中央に位置し、カウンター席をもつ麺飯のコーナーも併設。こちらのコーナーは買物ついでに麺類やご飯もので、手軽に食事を済ませたいという女性客が列を成している。

 一方、惣菜のコーナーは、コの字型に設置したショーケースの中を上下2段に仕切り、常時20~30品目の中華惣菜が白い大皿にきれいに盛り付けられている。そのほかに、自家製の春巻、餃子や中華の焼叉万頭、餡万頭なども並べている。最近のデパ地下の惣菜売場をみると、最近の流行はサラダなどを和洋中エスニックなどのあらゆる料理を取り入れたものが人気だが、同店の場合は意外にオーソドックスな料理が人気の上位を占める。具体的に品目名を挙げると、ピーマンと豚肉の炒め、八宝菜、酢豚、季節野菜と豚肉の塩炒め、といった具合で、昔ながらの料理が多く、家庭でもわかりやすい料理が多い。

「2店の料理店で提供している料理とデパートの惣菜とは、料理の味付けが異なります。というのは、惣菜は作りおきしたものを家庭で温め直して食べていただくものです。そして、ご飯のおかずという要素が強いですから、味つけもご飯と一緒に食べてちょうどよい状態にしています」

 小笹さんは、料理店の料理と惣菜の違いをこう指摘する。

 そして、これらに代表される同店の料理の特徴は、野菜をたっぷりと使っていることだ。この傾向は、もうかなり前からのことで、昨日今日にそうしたわけではない。それらの野菜の鮮度がよいので、パリッと瑞々しくて甘みも強い。その上、それを調理する技術も高いとなれば、おいしくないはずがない。

 惣菜を作っているのは、すぐ目と鼻の先にある本店の主厨房である、惣菜専用のスタッフが専用の厨房で作り、きちんと冷ましてから搬入する。店で出す料理と異なり、いったんお客へ手渡してしまうと、どのように食べてもらえるのかまるきり予想できない。とにかく、商品である惣菜の品質や衛生面の管理は厳密にしすぎることはない。本店からの搬入は、日に2~3回の補充をしていて、それでも足らなければ、それ以上の搬入回数も可能で、すぐに対応できる。このような態勢を組むことにより、なるべくできたての惣菜の販売を可能にしている。

 同店の最近の消費傾向をみると、一時では考えられないほど、1回の購入単位が小さくなっているという。同店では、最小ロットが100gからだったが、最近では50gからの注文にも普通に応じている。この50g単位での販売は、独身者やお年寄りにとっては、うれしいことに違いない。

 そして、ショーケースの傍に設けているワゴンには、種類の異なる料理を4点盛りにしたアラカルト・パックを商品化したところ、その日のおかずの一部として食卓を飾るのに適しているのか、少家族を中心にとても売れ行きがいいという。

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