ナビゲーションを飛ばす



記事閲覧

  • このエントリーをはてなブックマークに追加はてな
  • mixiチェック

特集

メニューから考える農産物マーケティング(2) 惣菜篇・包丁とまな板のない「食生活」が農業に求めるもの

【使い道で加工品と生鮮品を併用する】

 先に挙げた野菜はいまではどれも周年作物になっている野菜だが、作る料理によって、またその商品の売価によっては同じ野菜でも一次加工品を使うか、生鮮品で仕入れてから調理(スクラッチメイド)するのか使い分けられる。さらに季節感を出したい季節限定料理などでこのような使い分けが行われている。

 たとえばタケノコだが、通常のお弁当には水煮加工のスライスされたものを仕入れて味を付けるが、タケノコご飯などの旬の香りを生かす料理については、生のタケノコの小振りで形の良いものを仕入れる。これを皮剥きし、灰汁抜きで下拵えしてから味付け調理している。

 水煮缶の場合は10kg入りの一斗缶を年間350缶以上使うという。生のタケノコは季節で5kg入りの篭を50篭程仕入れている。水煮缶は食品問屋から、生鮮品は築地中央市場の仲買から仕入れている。大増の五反田工場の工場長、仲田文吉さんはこう語る。

「通常タケノコは水煮され最初からスライスしてあるものを使います。商品の売価に見合った食材仕入価格でないと使えませんから、それに一次加工されていることで、本来やらなければならない皮剥き、灰汁抜きなどの下拵えの手間と時間を省けますからね」

 料理の価格に応じてカボチャも使い分けているが、懐石料理や注文料理で煮込みにするような料理には小菊のように小振りで緑の皮を生かしたものが必要だが、弁当や惣菜に使う野菜のうま煮では、皮を剥いた状態で使い、味の面とボリューム感で品種を選ぶ。

 カボチャは和風惣菜には欠かせない野菜だが、これは日本列島のカボチャ収穫前線に沿って、まず北海道ものから、次に九州もの、そして徐々に北上する形で生産地を仲買にフォローさせながら仕入れている。カボチャは5玉入りの段ボール箱で年間100ケースを使用する。品種的には丸い形状のえびすが使いやすく価格的にも安定しているためこれを中心に仕入れるが、当然に加工のしやすさだけでなく食材の歩留まりも考慮されている。

 その点でニンジンなども仕入れに際して2Lサイズに指定されているという。これも切り分けた時の形や使い回しのよさを考慮してのことだ。

 年間を通じて使うものにはこのほかにも栗や各種フルーツなどがある。

 たとえば栗なども必ずといってよい程弁当に入っているが、これは外皮を剥き、内側の渋皮をとり、粒を半割りにした状態の甘露煮状態を一斗缶で仕入れる。だいたい1缶に600粒前後の半割り栗の甘露煮が入っているもので、これも工場での下処理加工の手間と時間を省く意図で選ばれている。

関連記事

powered by weblio