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大泉一貫の農業経営者論

集落農業批判(その2)集落規範に基づく「地域管理」(集落農業)は近代に逆行するか

80年代は地域農政の時代であり「地域マネージメント」の時代であった。具体的には、生産調整の「地域配分」、「土地利用調整」、「転作作業の組織化」が「地域マネージメント」という言葉で語られた時代である。80年代から90年代の「地域管理論」の特徴は、この生産調整で経験したことの一般化にあり、「集落共同体」を中心とした「地域マネージメント」の拡大と「集落待望論」あるいは「集落万能主義」の蔓延であった。またテーマも、町全体での「農業振興」や「農業でのイノベーション」などという一般的・抽象的なものから「農地の流動化・集団化」「土地利用調整」「農産物の販売」「転作による高収益の実現」「耕作放棄地の管理」といった具体的で個別的なものへと変化し、主体も、市町村や農協、土地改良区という制度化された官僚的色彩の強い大きな組織から、「集落」や「第三セクター」さらには「農業経営者」へという農業者により身近で小さい機能的な管理主体への転換がみられる。「地域管理」主体と範囲・目的の「小規模化・具体化」が進んだといってよい。
1 80年代以降の「地域管理」変化の特徴


 80年代は地域農政の時代であり「地域マネージメント」の時代であった。具体的には、生産調整の「地域配分」、「土地利用調整」、「転作作業の組織化」が「地域マネージメント」という言葉で語られた時代である。

 80年代から90年代の「地域管理論」の特徴は、この生産調整で経験したことの一般化にあり、「集落共同体」を中心とした「地域マネージメント」の拡大と「集落待望論」あるいは「集落万能主義」の蔓延であった。またテーマも、町全体での「農業振興」や「農業でのイノベーション」などという一般的・抽象的なものから「農地の流動化・集団化」「土地利用調整」「農産物の販売」「転作による高収益の実現」「耕作放棄地の管理」といった具体的で個別的なものへと変化し、主体も、市町村や農協、土地改良区という制度化された官僚的色彩の強い大きな組織から、「集落」や「第三セクター」さらには「農業経営者」へという農業者により身近で小さい機能的な管理主体への転換がみられる。「地域管理」主体と範囲・目的の「小規模化・具体化」が進んだといってよい。

 町全体での農業の発展と組織化という「大きな」話ではなく、個々の農家やら経営体やら集落の発展という身近で「個別的」な話題へと転換するのがこの時代、特に90年代においてである。実は「地域マネージメント」という言説はこうした状況下で出てきたものであり、それだけにこの時期、組織の運営や特徴に関する報告が農業経済学では数多くなされることとなった。


2 進歩から多様へ


「近代」という脈絡では「集落共同体」への期待は時代への「逆行」を意味する。「逆行」というコンセプトは「進歩」があって初めて存在する。しかし「進歩」は何かと問われれば、70年代に目標とされた所得の向上や高度の生産力追求と応える人は今日少なくなっている。技術発展による生産力の向上といった輝かしいコンセプトが、農産物の過剰や市場化を前にし豊かさや満足に結びつくのかが疑わしくなり、他方で「刻苦勉励」といったこれまでの農業感とは異なる「成り行き」の農業感が兼業化社会の中で台頭し始めている。「進歩」概念が相対化する時代では「逆行」自体も相対化し、農業の衰退といったコンセプトも何が衰退なのかを巡って混沌とし始めている。それが今日的状況といえよう。

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