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農薬利用新世代Ⅱ

産業用無人ヘリコプターの利用

3 無人ヘリの特徴


 無人ヘリは、軽トラックに2人で搭載できる程度のものであるが、意外に広範囲に利用が図れる。その利点は、

(1)遠隔操作で薬剤散布が可能なため、自ら水田等に入る必要がなく安全性が高い

(2)小型軽量のため、移動運搬などが自在で、天候不順でも晴れ間をぬいながら作業ができる

(3)散布規模が小さくても臨機応変に対応できる機動性を持っている

(4)1機あたり3~4人の作業員で、1日40ha前後の散布作業ができ、地上作業機に比べ能率が高い
等があげられる。


4 一番の魅力は作業能率の向上


 無人ヘリを利用した病害虫防除の作業能率は、無人ヘリの操作について一定の技能水準を保持しているオペレーターが、合図マン(オペレーターと反対側などに位置し、散布区域や障害物等をオペレーターに知らせる役)と作業補助者の協力の中で、一般的水田地帯を散布作業した場合、機種によって多少能力は異なるが、仮に薬剤搭載量が24リットル(kg)ある機体でhaあたり8リットル散布すると1フライト約20分で3ha実施できる。1時間あたり8~10ha、1日の作業時間を5時間として、圃場条件が継続して散布できる場所で考えると、1機1日あたりの作業量は30~50ha可能となる。

 一方、作業料金は、対象病害虫の種類と地域によって異なるが、10aあたり平均1500円(農薬代を除く)となっている。

 なお、機体購入に際しては、国、地方団体、農業団体などからの補助や融資の方法もある。


5 長所・短所をよく理解した上での導入が不可欠


 無人ヘリは、全国で約1560機登録されているが、価格は1機(散布装置付き)あたり600万円から1000万円もする高価なものである。

 農業後継者に夢を持たせるために導入したが、機体の稼働率が低くては機械化貧乏の物笑いになる。無人ヘリの導入にあたっては、現に事業を行っている機関や経験者などに意見を聞き、十分検討してから判断する必要がある。導入した以上、何はともあれ採算がとれるようにしなければ、農業に取り入れるメリットはない。

 現在の無人ヘリの使い方は、主に植物防疫の面での一つの手段であるが、慎重な設計により導入することが望まれる。

●長所

・農家の労力軽減が大きい

・若い担い手の意欲向上

・飛行高度が低いため薬剤投下が確実で農家の評判が良い

・使用薬剤の統一と散布量の適正化が図れる

・薬剤の飛散が少なく安全性が向上

・作業人員などの省力化を図ることができ、人手不足を補える

・小回りがきくため1筆ごとでも必要最小限の防除が可能

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