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江刺の稲

我々の“内なる国境の壁”を越えよう

  • 『農業経営者』編集長 農業技術通信社 代表取締役社長 昆吉則
  • 第75回 2002年05月01日

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今月号の「農業経営者ルポ」では青山浩子さんに韓国春川市の農業経営者・白敬烈(ペクキョンヨル)さんと彼の経営を支援する春川農協・金在鎬(キムジェホ)組合長を紹介することをお願いした。今月号が本誌創刊10周年記念号であればこそ敢えて韓国の白さんを取り上げたのである。
 今月号の「農業経営者ルポ」では青山浩子さんに韓国春川市の農業経営者・白敬烈(ペクキョンヨル)さんと彼の経営を支援する春川農協・金在鎬(キムジェホ)組合長を紹介することをお願いした。今月号が本誌創刊10周年記念号であればこそ敢えて韓国の白さんを取り上げたのである。

 本誌は、日本の農業経営者の誇りを擁護し、しかも日本の農業が消費者に支持を受ける存在であり続けるためにこそ、その存在意義があると考えている。であればこそ我々は韓国や中国など海外からの農産物輸入を恐れるのではなく、日本の農業がなぜかくも弱々しい存在に成り果ててしまったのかを問い、農業経営者自らがそれに対する答えを出していく勇気を持つべきなのだと考えるのである。むしろ、我々は韓国の農業を合わせ鏡として自らを見直すとともに、彼らも食べる者への責務を背負う健全なる競争と協力の関係を持つ仲間だと認識すべきなのだ。

 本誌では、これまでも“地域”を越えること、“業界”の枠を越えることの必要性を農業経営者のみならず、あらゆる「農業」と「食」にかかわる業界人に呼びかけてきた。そして、読者たる農業経営者の方々が地域(村)を越えて経営者と出会うことを演出してきた。異質な背景を背負いつつも目線の揃う人々との議論や共同作業は、誰にとってもビジネスチャンスや知識を得るだけでなく、個人として、あるいは職業人として生きることの可能性を自覚していくことに繋がったと思う。政策的にも地域や共同体というものに縛り付けられて生きてきた農業者にとって「村を越える」出会いが新鮮な体験であったごとく、彼らも会社や業界という組織(村)に縛り付けられることで自らの創造力に制約が与えられてきたのだ。そしてさらに、我々は国境を越える勇気を持つべき時代にいるのだ。

 たしかに、当面の間、我が国の農業は外圧に苦しめられるだろう。しかし、それは、これまでの農業界や農家たちが、食べる者という顧客の存在すら省みることが無かったことを一つの原因としていることを忘れるべきではない。言ってみればお上にすがるばかりで真面目に商売をしてこなかっただけなのである。

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