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女だからの経営論

目指すはファーマーズ・ベーカリー

北海道・留寿都村の玉手農場は、ジャガイモの「キタアカリ」にいち早く着目し、個人宅配を軸とした直売ルートを確立したことで知られている。さらに春撒き小麦「ハルユタカ」の栽培にも着手。玉手由美子さんは、目下、パン焼き修業中だ。
キタアカリ&ハルユタカのピザ


 3月初旬、北海道留寿都村の畑は、まだ雪の下だった。ここでジャガイモの「キタアカリ」とスイートコーン、小麦「ハルユタカ」の栽培を手がける玉手博章さん・由美子さん夫妻のお宅を訪ねた。

 玄関からまっすぐ2階へ通されると、いきなりリビングとキッチンが現われて、なんだか不思議な感じがした。あっ、そうかこれは二世帯住宅なんだ! 何でも玉手家は、留寿都村で最初に二世帯住宅を建てたのだとか。階下には、玉手博章さんのご両親が住んでいる。

 昼時も近くなり、玉手由美子さん(47歳]がキッチンで、ジャガイモを茹で始めた。お鍋の中からころころと湯気を立てて出てきたイモは、目を見張るほど黄色い。

 ――これがキタアカリなんですね。

 「そう」

 最近は食味の良さで人気が高まり、北海道以外でもよく見かけるようになったキタアカリだが、博章さんは、まだ「北海63号」と呼ばれていたこの新品種にいち早く目をつけ、個人宅配を中心に積極的に売り出した。

 二世帯住宅しかり、キタアカリしかり。今から15年前、まだ農産物の産直が珍しかった時代に独自の顧客管理システムを確立。「8インチフロッピーが顧客200人のデータでいっぱい」になっていたというからオドロキだ。博章さんは、誰も着手していないものを発掘して、確実にモノにする「先取りの名手」なのだ。

 ホクホクと湯気を立てたままスライスされたキタアカリがトッピングされたピザの生地は、宅配ピザやスーパーの冷凍生地、イタ飯屋のピザ生地に比べると、ちょいとグレーがかった色をしている。

 「これがハルユタカのピザです」

 「ハルユタカ」の名前は、近ごろ東京のパン屋を取材していても、よく耳にするようになった。国産の春撒き小麦で、パンに欠かせないグルテンの強い強力粉になる。目下人気急上昇中の品種である。「先取りの名手」は、この小麦を世に広めるべく、目下画策中のようだ。

 由美子さんが、手際よく材料を乗せていく。ハルユタカ100%の生地にソース、キタアカリ、その上にチーズをかけてオーブンの中へ……日本国中、留寿都村の玉手家でしか食べられない貴重なピザだ。

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