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女だからの経営論

目指すはファーマーズ・ベーカリー

栽培、製粉、加工、販売… すべてを手がけるパン屋を


 今年の2月、後志支庁農業振興部主催の農産物加工利用研究会で、由美子さんは、会場の留寿都高校にオーブンを持ち込んで、吉川さんと共に試食用のパンを焼いた。

 目指すは生産者自らが、小麦の栽培、乾燥、製粉、製パン、加工、販売すべてを手がける、ファーマーズ・ベーカリーだ。人口2300人の留寿都村に、果たして人は集まるのだろうか? 

 「どうせやるなら中途半端な都会より、NHKの『ほんまもん』のように、思いっきりローカルな方がいい」

 とアドバイスしてくれたのは、(株)アレフの庄司昭夫社長である。留寿都村には北海道最大の「ルスツリゾート」もある。わざわざ車を飛ばして田舎へパンを買いに……そんなスタイルが定着するかもしれない。

 「販売許可を取るのはまだにしても、業務用のオーブンで1年ぐらい試運転して、お金がもらえるものを焼けるようにしたい」(博章さん)

 と先取りの名手は語る。一方由美子さんは、

 「最初は趣味程度に楽しく焼ければいいと思っていたのに、事業となると大変。農作業はどうするの? 両方なんてとてもとても……」

 と、いたって現実的だ。しばらくは窯の試運転もかねて焼きつづけて、将来的には専門のスタッフを雇い入れ、本格的に窯を稼動させる予定だ。求めているのは経験よりも、「肌で生地を扱える、センスのいいパン職人」。北海道の小麦畑の只中で、焼きたてのパンと、オーブンで焼いた熱々のキタアカリが食べられる……そんな店が出現しそうだ。


■玉手 由美子さん/北海道留寿都(るすつ)村玉手農場
〒048―1731 北海道虻田(あぶた)郡留寿都村留寿都185‐9
TEL・FAX 0136‐46‐3504
【プロフィール】
1955年3月、北海道斜里郡清里町に生まれる。旭川の病院で保健婦として働いていたとき、留寿都村の玉手博章さんと知り合い、86年結婚。その後も職場を倶知安(くっちゃん)の病院に移し、休日と収穫期に農作業を手伝う「夫婦別業」状態が続くが、95年、退職し本格的に農業へ。春まき小麦「ハルユタカ」を使ったパンの製造、販売に向けて目下画策&修行中である。

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