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特集

第10回国際園芸技術展 

【5 養液栽培システム】

 近年、イチゴの省力・快適な生産方式である高設栽培システ厶の出現により、イチゴ養液栽培面積は倍増している。イチゴ高設栽培システムは、各企業、各県ごとに異なり、日本施設園芸協会の収集情報では28方式に上る。また、最近開発した方式を合わせると30方式を超えるのではないかと考えられている。各システムは、構成・素材・コスト面でそれぞれ特徴があり、選択の多様性に寄与している。しかし、県ごとに方式があるということは、逆に選択の多様性がないと言えるのかもしれない。生産コストやシステムの性能面で全国的なモデルとして4、5方式を選抜し、標準化して普及するのが望ましいと思われる。

 出品されていたイチゴ高設栽培システムを培地の種類からみると、有機培地が多い。その中で目立っていたのは、太洋興業(株)の「ルートリッチシステム」と三秀工業(株)の「高設いちご養液栽培システム」と思われる。「ルートリッチシステム」は、天然ヤシ殻100%の有機物を培地に、新開発の水分センサーで水分状態を管理するシステムである。また、三秀工業の養液栽培システムは、原水処理システムをはじめ多チャンネルの培養液処方給液、及び排液再利用システムから構成されたもので、イチゴ高設栽培には安価で入手しやすい籾がらを利用した毛管水耕システムである。


【6 育苗システム】

 近年、播種機、接ぎ木装置、鉢上げ装置、土入れ機など、さまざまなシステムが開発普及されている。特に、1998年と2000年に多数出展されていた接ぎ木装置は今回は見あたらず、土入れ機、鉢上げ装置のみの出品となっていた。これは、栽培温室・ハウスに使う機械設備というより育苗センター用が中心で、需要は少ないのではないかと思われる。

 今回出品されていた育苗関連システムの中で、太洋興業は、量産されているエアコン、蛍光灯の光源などの資機材を用いることで設置・運営コストを格段に節減し、経済的実用性があり、かつ安定した苗作りができるシステム、「苗テラス」を出品して注目を集めていた。

 また、水稲作育苗システム専門メーカーである(株)スズテックは、播種機、ポット土入れ機など野菜・花き栽培の省力化をめざす多様な園芸育苗用機械を出品。特にポット土入れ機「STK‐25P」はコンパクトタイプで、セルトレイやポリポットに対応可能なものとなっている。


【おわりに】

 資本技術集約農業である施設園芸は、いままで日本のように高い栽培技術と資本が多い国に適する産業と思われてきた。しかし実は人力集約農業でもあることで、人件費が高い日本のような国では競争力の問題がでてくる。従って、その人件費をカバーする資本と技術が要求されることになる。しかし技術は世界トップであっても、高いコストの高級ガラス温室では競争できない。その面で「低コスト耐候性ハウス」は適した政策の導入と思われる。しかし、低コストハウスでも、いままでの高級ガラス温室と同一の品質水準の農産物を生産するためには、それに合う新たな環境調節技術と省力的機械設備の導入が不可欠である。しかし、先にも述べた通り、その期待に合う新技術、省力的機械設備は、残念ながら今回の国際園芸技術展では見当らなかった。

 日本の施設栽培経営者が経営を放棄せず、この苦しい時を乗り越え頑張れるよう、施設栽培関連産業と関連研究機関が低コストハウスの供給だけではなく、それに合う環境調節技術と省力的機械設備の開発普及に努力すれば、明るい未来が見えると思う。

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